【雑記】現在就活をされている学生さん向け 1/3

雑記

保存修復家がオリジナルを大事にする理由に関するシリーズなどが終わっていませんが、ちょっとした読み物として、全3回に分けて就活関係のお話しを。これは第一回目。

この時期にこの記事を読まれているということは、おそらく大学4年生位で、就活がうまくいっていない方でしょうか(苦笑)。

この記事を書いているのは、当ブログにおいては「学生さん」が読んでいる様子が伺えるので、そういう学生さん向けの記事です。

私自身、短い期間ですが大学で教員をしていましたので、少ない数ではありますが学生さんの就活に関わったことがあります。すんなり決まる学生さんもいましたし、「こんなすごくよい学生がどうして…?」とその学生を知る教員が全員首をひねるような状態の学生さんもいました。

我々教員は「大学入試」という立場では「選考する立場」でもあったので、それも踏まえて自分が担当する学生さんに話していたことや、あるいは学生さんを見ていて思っていたことを大きく5つに分けて書いてみます。

①受験も就職も「縁」である

これは実際担当する学生さんにお話ししていたことです。どんなに優秀な学生さんであろうとも、逆にお勉強が苦手なのかなぁとか、入学した大学・学部と合わないのかなぁという学生さんであっても、どこかに繋がる場合、「縁」もあります(こういうと宗教か?!スピリチュアルか?!と思われそうですが、そうではありません)。

「就活はお見合いと同じ。あなたがどうこうというわけではなく、ダメだったときは相手(会社、受験の場合は学校や学科)との相性が合わなかったのだ。こういうのはある種ご縁だから」と、特に最終面接で落とされた学生さんに対してはこう話していました。

最終面接の場面というのは、会社の理念、会社の在り方というものと直面する場面でもあるので、そこで会社側でも応募者の片方でも(会社のお偉いさんだでなく、受け手である応募者の方も)ダメだと思えば、ダメなのです。

あるあるの話ですが、最終面接で「会社さんだけがダメ」と思うことって稀です。大概、「これは結果はダメだろうな」という場合、受けている学生さんも「なんだかもやもやする」と言って帰ってきます。受け答えが上手にできた、できないの話ではなく、「ダメだな」という場合に「この会社でいいのだろうか?」というもやもやが大きくでてくるのが最終面接です。学生が「う~ん」で、会社が「合格!」は、まずない。

とはいえ「落ちてしまう」というのは短期的な目線では悲しい結果ですが、長期的な目線で考えると幸せな結果です。

なぜなら無駄に合わないところに入ってしまうと、「結婚」と同じでお互いに(入社してしまった側も、会社さん側も)苦しむことになるのは絶対だからです。いくら憧れている会社や業界であっても。なので、就活段階で「相性として無理そう」と会社さん側から示されるのは、「あなた自身を知る機会でもある」とも思うのですね…。

②あなたに希望の業界や会社があるように、会社側にも希望する新入社員の素質のようなものがある

昔々、世がバブルと呼ばれていたような頃(ちなみにその頃、私は子供ですので、その旨味を自身で享受はしていませんが)、モテる男性は「3高(高学歴、高収入、高身長)」と言われ、あるいはモテるテクニックとして「3S(スピード、スマート、スウィート)」などと言われていました。

しかしこれらはよくよく考えると、「個人」を全然みていないことになります。逆説的に言えば、「条件さえ満たせば誰でもよいのだろうか」という話です。

受験や就活においてもこれは同じように思うのです。方向性として2つ。

会社さんや業界を「理想」や「憧れ」、「ステレオタイプ」で見ていないだろうか?会社さんや業界をちゃんと多角度から研究しただろうか(会社研究、業界研究ですね)。

二つ目に、自分自身を等身大で観察しているだろうか?ということです。これは非常に難しくて、少々の過大評価はまぁいいとしても、過剰な過大評価や逆に自分を卑下するような過小評価はいただけません。

一般的に多いかなぁと思うのが「自分はこの職(会社)がいい!」という希望というか理想というかが肥大化している上、それと自分のスペックが適合しているかどうかが見えていない場合。自分自身の「足りなさ」を補わないまま業種の選択を広げるなどの選択をしないので、「落ちる」が繰り返されてしまうだけでなく、面接に届かない(書類選考で落ちる)が増えてしまう。

最近は「あらゆる希望者へ間口を広げる」という意味合いで、会社さんの募集要項に「女性希望」とかそういう文言は書けなくなりました。

例えばで一日ずっと書類作成、経理計算など、PC上で入力が必須のお仕事の場合、「PCが使える(必須アプリの使用が可能)」ということが業務上必須となります。

これは実際あったことですが、「PCが使える」が必須のお仕事にブラインドタッチすらできない人が試用期間雇用者として入ってきてしまいました(使えると主張して)。でも実際は「業務としては使えない」わけです。当然試用期間が過ぎると切られてしまう。自分自身がいくら「使える」と思っていても、実際の会社のニーズと一致していないからです。

「雇用の窓口を広げる」といいつつも、実際の業務では「求められる具体的な理想人物」というのが各会社には絶対的にあり、そのための最低限のボーダーラインを超えていることと、「育成した場合に素直に基準値に育つ可能性がある」ことを最低限会社は求めて人を雇うのだと思います。

反面会社側は近年、正直に「こういう人がほしい!」というピンポイントな希望を募集要項に書けないため、逆説的に受ける側が会社研究を必死にやらないと、そもそもの「会社のニーズと自分自身の一致性」に関し気づけないし、書類段階で落ちることも多くなると思うのです。

なんというか、雇用の窓口を広げるってすごくよさげに聞こえるけれども、応募する人間や公募する会社の労力や財力や時間のことを考えると、会社の本音がさらけ出されているほうがいろんなことが分かりやすくてよい気もするんですけど、難しいですよね…(某有名企業の人事をやっている方の話を聞いたことがありますが、絶対この人は受からないとすでに分かっている人でも一端採用試験を受けさせなくちゃならなくなったから、本当に大変になった…とも)。だって見かけの間口だけ開いてても仕方ないのだもの…。

これに対してよく履歴書段階あるいは第一面接段階で落ちるばかりの学生さんは、「会社のニーズ」を無視して、自分の「夢」とか「理想」ばかりを圧してくる気がします。

自分の希望や理想を明確に言えるのはよさではあるけれど、その反面「それ以外は絶対嫌!」という頑固さや柔軟性の無さ、広い視野の欠乏を示しているように見えます(ただ理想をもって社会に出ようと希望いっぱいの若い方には当然の気持ちで、特殊なことでもましてや悪いことでもありません)。

先の例でいうと、指一本でPC打てるし大丈夫!みたいな感じで学生さんは「自分はPC打てるから、この業界に入れる!」みたいなことを思っていても、会社さんはプログラマー候補的な人がほしいかもしれず。そうすると需要と供給があっていないことは明白です。

こういう学生さんね、見方次第では「芯のある」「自分の意志のある」人ということになるのですが、一般社会の場合「頑固」「頭が固い」「人の話を聞かない」「自己評価ができない」という評価になりがちです。

若い皆さんからして「頑固」「頭の固い」「人の話を聞かない」「自己評価ができない」人が上司だったら嫌じゃないですか?嫌ですよね?

それは会社も上司も先輩も同じです。きちんと人の話が聞ける人がほしい(これは「命令が聞ける人」ではなく、冷静に自分の力量などに鑑みて「周囲の人と話し合いながら仕事ができる人」がほしい、という意味です)。

同じような業界、業種に落ち続けている場合は特に、「業界のニーズに自分が合わないんだ」ということを一度きちんと受け止める必要があります。

受け止めるってどうやねん、ですけど。優しく耳ざわりのいいことを言ってくれる同級生のお友達とかではなく、大学の就活担当とか、ゼミ担当の先生(あるいは学科担当の複数の先生)、親、すでに就職している兄弟姉妹はじめ親戚など、すでに社会にでている大人からの「厳しい見解」を聞いてほしい(最近は「厳しい意見」を言う大人も少なくなりましたが)。

おおよその就活の失敗は(このブログの筆者の超氷河期とは違い、就職できないことがないこの現代において)、大体社会人をしている人から見て「ああ、そりゃそうだなぁ」だったりするからです。

「理想」とか「希望」はあって然るべき。

でも、周囲の大人の社会人としての意見というのを聞いて、「柔軟に変化する」ことも鍵なのでは…と思ったりします。

求める会社や業界の「ニーズ」通りに変化するのも一つ。自分自身が受けるべき業界や会社を、「自分にできる仕事」へとターゲットに変えるのも一つ。

いかなる人間も人間である限り「変化」をあまり好まない上、「頑固」な人ほどこれができないのでなかなか難しいのですが、いかに「自分を変えるか」というのが一つの要点かなと思います。

本日のまとめ的なもの

結構厳しいことを書かせていただいていますが、一つ大事なこととして、一般的に周囲の大人(特に大学の就活関係の専門家とか、ゼミの先生あたり)は敵ではありません。

「こいつの就活をダメにしてやろう」とか「落ちればいいのに」とかを99%、普通は思わないものです。むしろ「どこでもいいから、就職してくれ~」と祈っている立場です(私自身が教員をしていて、ゼミ生に関わらずいかなる学生にも思っていましたし、どの先生もこれで胃を痛めて、学科を超えて先生同士で就職情報を共有していたのは確かです)。

なので多分学生さんからすると「ひどい」「私はそんなの望んでいないのに」ということをもしかして教員や就職関係の方がお話ししていて、むっとしたり傷ついたりするのかもですが…、冷静に話を聞いてほしいなと教員を辞めている今でもせつに願います。就活関連の方も、教員も、皆さんが社会人として笑顔で一歩を踏み出せることを心から祈っているからです。

また逆説的にそれでもどうしても「自分の思う道を」と思う方は、「言葉で」就活関連の方や教員にそれを論理的に伝えているだろうか?あるいは「結果的にこうなりたい(結果)と思っていて、そのためにこのようなことを現在努力していて(what, how)、結果までの段階に対して現状どの位置に自分がいて(結果を100とした場合のwhere)、結果に至るにはあとどれくらいの時間(when、how soon, until what time)が必要で、だから自分はいつまでに(until when, how long)結果を出せる努力をしているから諦めない」と伝えているでしょうか?

自分以外の人間に対し、できるだけ言葉でわかってもらう努力って必要だと思うのです。

ただ、「諦めない」と言うことはたやすい。

でもそれは子供のわがままと同じですし、自分自身が見えていないですよね?

何も努力していないのに、どうやれば自分の希望にたどり着けるのかも知らないくせに、ただ「諦めない」っていうのは変です。

お家で食っちゃ寝して、家からすら出ないのに「私はアイドルになる!」って言っているのと似ている、というか。

少なくとも大人から見て理想しか見ていない学生さんがこう見えるのですが…。だからこそ学生さんからすると耳が痛いことを大人は言ってしまう、というわけです(^^;)。日本ではどうしても新卒での就職が一番簡単というのもあるので…。

勿論受験とか就職とか、努力に対し結果が絶対そうなるとは言えないものなのでなかなか言葉での説明って難しいのですけど、大人にわかってもらうアウトプットを試してほしいですし、大学の先生や就活関係者に言葉で言ってほしい(言語化すると自分自身の気持ちや考えの整理もできるからです)。

結局これが「業界研究」と「自分自身に関する冷静な評価」の結果でもありますし、人に言葉で説明する力も努力もないままに「私を理解して!」ってずるいし、子供だし、おこがましいと思うのです。

なんだかこのまとめが一番厳しめだった気がします。全3回なのに、全ては読んでもらえないかもなぁと苦笑い。でも就活関係者や大学の先生は絶対的に学生さんの味方で、頼るべき人であることは伝わってほしいなぁ…。勿論合う、合わないはあるとは思うのだけど…。

ここまで読んで下さりありがとうございます。続きますので、ではではまた~。

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