【用語】顔料に関する概要(ベルギーでの大学での授業Ver.9):昔の主要な顔料3(ラピスラズリ2/2及びスマルト)

用語

8つ前の記事より、ブログ主が海外の大学で留学していた際に、授業でいただいたプリントの翻訳となりますが、「顔料」というものを理解するために、用語の勉強として記事にしております。過去の記事もよろしければご覧ください。

また各記事にくり返し書いておりますが、このシリーズは翻訳であることから、文章として固い感じがあるだろう部分があります点、改めまして先にご了承くださいませ(ぺこ)。また、こういう用語はいろんな文献で比較参照するのが非常に重要ですので、もし大学生などの方がご覧になられていましたら、こういう記事のみでレポートとかを書かないようにお願いします。

現在昔の主要顔料について、あくまでもかいつまんだ説明のみを記載しまいます(海外の大学時代の、1年生の前期に受けた授業のプリントの翻訳です)。本日は直近の記事の続きとなりますラピスラズリの説明です。まだ直近の記事は読んでいないという方は、先に前半の記事をお読みいただけますと幸いです。

プリントの内容:青色の顔料2:ラピスラズリ2/2

  • ラズライトの抽出のクラシカルな方法(翻訳):A. Kurella, I. Strauss, “Lapis-lazuli und natürliches Ultramarin(ラピスラズリと天然ウルトラマリン:おそらくドイツ語)”, Maltechnic, 89, I, 1983, pp.34-54.

チェンニーノ・チェンニーニの処方:

E. Deninger, “Die Herstellung von reinem, natürlichem Ultramarinblau aus Lapislazuli nach der Methode des Cennino Cennini(チェンニーノ・チェンニーニによるラピスラズリからのピュアでナチュラルなウルトラマリンブルーの作成:おそらくドイツ語)”, Maltechik, 70, 1964, pp.2-5.

粉砕した鉱石をろう、樹脂、油で練り、これらを布で包み、「灰汁」(木の灰と水から得られる炭酸カリウムの溶液)の液体の中に入れる。ラピスラズリの持つ親水性のため、水に可溶性の結合剤の中で粉体は大変容易に分散する。反面、油ないしは樹脂からなる結合剤の中では分散しにくい。

また一方ラピスラズリはある種のエマルジョンなどのアルカリの中より、酸の中では不安定である。

乾燥した状態で濃い青色を持つ顔料は、卵からなるテンペラやガム(アラビアガムなど)のような水性メディウムと関連づけると保たれる。反面とりわけ層が厚い際は、油と混合させると色彩が暗くなる。

油性メディウムを使用する際は、特に鉛白(不透明かつ色鮮やかな美しい青を与える)とともに、あるいはより明るい下層の絵具層の上に薄い半透明の層として用いられる。

※ラズライトの簡単な説明は直近の記事にございます。

※エマルジョンに関しては、独立した記事がありますのでそちらをご覧いただけると幸いです

プリントの内容:青色の顔料3:スマルト

コバルトによって青色に着色されたガラス。16世紀以前に絵画で使用されるのは稀。

プリントの本文

Recettes anciennes de l’extraction de la lazurite (compilation): A. Kurella, I. Strauss, “Lapis-lazuli und natürliches Ultramarin”, Maltechnic, 89, I, 1983, pp.34-54.

Recette de Cennino Cennini:

E. Deninger, “Die Herstellung von reinem, natürlichem Ultramarinblau aus Lapislazuli nach der Methode des Cennino Cennini”, Maltechik, 70, 1964, pp.2-5.

Le minéral broyé enrobé de cire, résines et huiles, le tut enroulé dans un linge et placé sous une solution de “lye” (une solution de carbonate de potassium préparée avec des cendre de bois et de l’eau).

  • de fait de son hydrophilie marquée, le lapis est très facilement dispersable dans les liants solubles deans l’eau et beaucoup plus difficilement dans les liants à base d’huiles ou de résines. D’autre part, le lapis est moins solide dans un milieu acide (huile) que dans un milieu basique (certaines émumsions). La couleur bleu profond du pigment sec est conservée quand il est lié à des médiums aqueux comme des gommes ou la tempera à l’oeuf, mais il s’assombrit à l’huile, surtout en couche épaisse. A l’huile, on l’utilise de préference avec du blanc de plomb (donne un beau bleu opaque et brillant) ou en fine couche translucide sur une sous-couche plus claire.

Smalt

Verre coloré en bleu par du cobalt rare en peinture avant le ⅩⅥème siècle

本日のまとめ

今回計2色、先にご紹介したアズライトを加えると3色の古典の青色の説明をしましたが、各種特徴がありました。

色味や使い方、使用年代などが異なりますので、例えばですけど作品の年代特定などをする際にこういうことを理解することが大事になったり、あるいは作品に手入れをする際に「どういう素材を使用するべきか」と考える手立てとなります。

例えばラピスラズリを使用したものに対し酸気のあるものは使用できませんので(一度変色したものは二度と元に戻せません)、いかに作品への調査が大事かということや、こういう作品を構成する素材を理解することの大事さということへ、よりご理解がいただけrと思います。

決して保存修復家が「作品が壊れている→手を入れよう、上から絵を描こう」というのでは成り立たないということへの理解の足掛かりになればよいなと思いつつおります。

というわけで本日はここまで。

最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

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