【用語】顔料に関する概要(ベルギーでの大学での授業Ver.12):昔の主要な顔料7(緑色顔料:ヴェルデグリ)

用語

2023.01.31

この用語シリーズはブログ主が海外の大学で留学していた際に、授業でいただいたプリントの翻訳となります。西洋絵画を構成する素材の一つである「顔料」を理解する足がかりの一つとして記事にしております。

このシリーズの最初のものや、特定の顔料の説明の最初のもの(昔の主要な顔料1の記事)などの過去の記事もよろしければご覧ください。

また各記事にくり返し書いておりますが、このシリーズは翻訳であることから、文章として固い感じがあるだろう部分があります点、改めまして先にご了承くださいませ(ぺこ)。

この記事からは緑色関係の話となり、本日はその中でもヴェルデグリ(緑青)のお話となります。

プリントの内容:緑色の顔料1:ヴェルデグリ

緑色

ヴェルデグリ

屈折率:1,5

乾燥性が高い顔料

  • 古代ギリシャ・ローマ(プリニウス)以来使用されている塩基性あるいは中性の酢酸銅で、中世からバロックまでの写本の中でしばしば言及されている。この顔料は13~19世紀、その中でもとりわけ15~17世紀にかけてヨーロッパの絵画に使われた。この顔料は背景の景色やゆったりとしたひだのある垂れ布のような強い色を持つ緑色として使用されていた。これは他の緑色(マラカイトやテールヴェルト)あるいは青と黄色の混色によってでは同様の強い色が得られなかったためです。
  • 銅板の元にあるワインの搾りかすによる酢酸の影響によって銅は青あるいは青緑の堅い層に覆われます。次にこれをこそげる。
  • この顔料は油の中では弱い被覆力が低いため、下塗りのために鉛白あるいは複酸化黄と、もしくは鉛白と複酸化黄の混合物と組み合わせる。
  • 酢酸銅が結合剤である油分の脂肪酸と経年と共に反応する傾向があることからますますヴェルデグリは美しいグレーズを与え、透明な緑銅の塩が得られる。
  • 時々そのグレーズ層の透明度と彩度を高めるためにほんの少量の樹脂がグレーズ層に導入されることもあった。この樹脂は顔料を練る前にメディウムに加えることができる。時々樹脂と顔料の間の反応は、塗布表面を茶色に変色させる傾向を持つ樹脂酸銅を形成する油とともに混合する前に発生する。
  • 顔料を練る前にメディウムの中に樹脂を導入することは本当に樹脂酸銅よりもより美しい色彩の熟成を与えてくれる:これは絵画層中の緑色の良好な保存状態を説明する

プリントの本文

Vert

Vert-de-gris

Indice de réfraction: 1,5

Pigment très siccatif

  • un acétate de cuivre basique ou neutre utilisé dès l’Antiquité (Pline), souvent méntionné dans les manuscrits depuis le Moyen-Age jusqu’au Baroque. Il est utilisé ⅩⅢème au ⅩⅨème siècle, mais surtout du ⅩⅤème au ⅩⅦème siècle. Il est très utilisé pour les verts intenses des paysages et des draperies, aucun autre vert (malachite, terre verte) ou mélange bleu-jaune ne possédait une souleur aussi forte.
  • marc de vin en présence de plaques de cuivre, sous l’influence de l’acide acétique le cuivre se couvre de croûtes bleues ou bleu-vert, puis gratées.
  • faible pouvoir couvrant dans l’huile, donc combiné pour les sous-couches avec du bland de plomb ou/et du jaune double oxyde.
  • donne de beaux glacis d’autant plus que les acétates de cuivre tendent à réagir avec les acides gras du médium huileux au cours du temps donnant des sels de cuivre verts tranparants.
  • parfois une petite quantité de résine était introduite dans le film pour augmenter la transparence et la saturation. Cette résine pouvait être ajoutée au médium avant que le pigment ne soit broyé, parfois la réaction entre la résine et le pigment était faite avant le mélange avec l’huile formant un résinate de cuivre qui a tendance à présenter une décolation brue en surface avec le temps. L’introduction de résine dans le médium avant le broyage de la couleur donnerait un meilleur vieillissement que celui d’un vrai résinate de cuivre: expliquerait le bon était de conservation des verts chez les PF.

本日のまとめ

長い歴史の中で、きれいな色で、発色がよくて、他の絵具や素材との相性がよくて、発色などが長持ちして、人体などに安全で、使用が簡単で…という緑色というのがなかなかなかった時代が結構長かったりするんですね。

今、画材屋さんにいくと色々使いよい緑色がたくさんあるのですが、それは本当に人類の悲願といいますか、いろんな開発・発見の連続の中でようやく作られた緑たちで。

本当に現代という時代は過去の多くの方の苦労や努力の上による便利さの上にあるのだなと、ありがたい気持ちになるばかりです。

また別の機会にでも、絵具の発達の歴史などの話もできるといいなぁと思いつつおります。

本日はとりあえず以上まで。最後まで読んで下さりありがとうございます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました