毎度毎度同じシリーズ内で同じ文言を繰り返してはおりますが、前置きとしまして、この用語シリーズはブログ主が海外の大学で留学していた際に、授業でいただいたプリントの翻訳となります。西洋絵画を構成する素材の一つである絵具を理解する足がかりの一つとして記事にしております。ただ、もし文化財保存修復を学びたいなーという方が読まれている場合は、こういう記事のみをうのみにするのではなくて、いろんな文献を比較参照してくださいね(^^)。
また各記事にくり返し書いておりますが、このシリーズは翻訳であることから、文章として固い感じがあるだろう部分、あるいはわかりにくいがあります点、改めまして先にご了承くださいませ(ぺこ)。顔料や絵具に関しましては、現在やっている【用語】シリーズに関わらず、すでに過去の記事で何度か書いている部分もありますので、そちらもご覧いただけるとわかりよいのかな…と思いつつおります。
本日はマスティック樹脂について。
なお、ベルギーの大学のプリントシリーズはとりあえず今回で終了です。
プリントの本文:結合剤と希釈材25:トリテルペン2:マスティック樹脂
マスティック樹脂
- マスティック樹脂は地中海沿岸の低木の浸出液に由来する
- 最も色が薄い気イオで、透明な状態の雫状のものが販売されている:Chioのマスティック
- しなやかな塗膜を与えるが、堅牢さは低い
- 古いレシピによれば、15世紀に最も一般的に使用されたワニスはマスティックまたはマスティックとサンダラックを亜麻油で溶かして、しばしば無視できない量のコロファンが加えられた
プリント本文
La résine mastic
- Provient de l’exsudation de l’arbuste des côtés méditerranéennes.
- Vendues en larmes dans sa forme la plus jaune pâle et transparente: le mastic de Chio.
- Donne un film souple mais de faible durté.
D’après les recettes anciennes, il semberait que le vernis le plus couramment employé au ⅩⅤème siècle fut préparé par dissolution du mastic ou de mastic et de la sandaraque, dans de l’huile de lin, souvent avec un ajout d’une quantité non négligeable de colophane.
本日のまとめ
先の記事のダンマルの歴史が短いことに対し、マスティックは油絵の歴史と近しい関係性にあったように見えますね。
先の記事のダンマルが、現代の絵画修復のシーンにおいてある種の欠点を持ちながらもよく使用されていることに鑑みると、大きな家族として同じトリテルペンに収まるマスティックは、ダンマルとある種近しい性質を持つ樹脂であることが想定できます。
とはいえ、ダンマルとマスティックが近しいとはいえ、現代修復においてよく使用されているのがダンマルであることから見て、あくまでも「絵画の修復」という観点においては、ダンマルのほうがマスティックよりも使いよい素材であることは、修復の専門家でなくとも想像がつかれるかと思います。
この「ベルギーの大学時代のプリント」シリーズは、あくまでも1年生時に大学からもらったプリントを元にしていますので、基礎、といっても本当にごくわずかな情報しか載っていないんですね。情報量としてもそうですし、学ぶべき素材としてもそうです。
だからこそ、一つの素材に関してもいろんな知識が必要ですし、そのためにいかなる職業でも皆さんそうされているとおり、ずっと勉強だなぁと思うんですよね。
というわけで本日はちょっと短めではありますがここまで。最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
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