この一文か書けるか否か?が卒論のテーマの可否に関わる

修復を学ぶ

ここしばらく卒論関係の話をしておりますが、本日は結構具体的な話を。

おおよそどこの大学であろうとも、卒論のテーマ決定の際に「研究計画書」の提出が求められると思います。ただ、研究計画書って実際作ってみるとわかると思うのですが、結構大変なんですよね。さらにその時間と労力をかけて作った計画書で「このテーマは…、ちょっと…」となると、それはそれでショックが大きい…。

ですので、研究計画書を制作する前に、複数案を考えるという場合などでも「これをするとよい」ということをお話します。

論文規定分を作成する

いきなり見出しにまたややこしいことが書かれていますが、この名称などは正直どうでもいいです。

要は、一文(最大3行まで)で、「①取り上げたいテーマ、論点、疑問点など」「②分析や論証方法、あるいは検証方法」「③想定される結論、主張」を入れた文章を作成せよ、ということです。

上記を一文にするひな形を用意しますと、

「私は当論文において、 【①(取り上げたいテーマ、論点、疑問点)】について【②(分析や論証の方法、研究方法)に関し研究・分析、考察し】、【③(結論、主張)】という結論を導く」

という文章で卒論の研究テーマにしたい内容を要約してほしいのです。

実際にブログ主が大学で教員をしておりました際、この一文を作る勉強は3年生のゼミで実践しておりました(論文の実施は4年生からですので、その準備段階ですね)。その後で研究計画書を作成してもらうのですが、あくまでもおおよそではありますが、この一文が作れる学生は、教員と相談しながらでも研究計画書を作ることができるはずです。

逆をいいますと、この一文が作れないと第一段階として難しいかもです。

なぜこの一文が重要かといいますと、この一文は背骨のようなものだからです。自分自身が半年から1年かけて行う研究や論文執筆において、テーマがぶれないように、掲げておくべきものだからです(ただし勿論研究経過において修正改善が必要な場合は必要に応じて、変更等を実施することができますが、大筋は変わらないはずです)。

大人気の長編漫画は、いきあたりばったりで連載をしているわけではなく、「物語全体としてこういうことを読者に伝えたい!」という一本の大筋がある上で、毎週の締め切り毎の起承転結を付けたり、「第一章」みたいな区切りを付けたりして、物語に肉付けをしているはずです(時々大人気少年漫画などで、「ここで終わればよかったのに…」という漫画がありますが、それはきっと大人の事情の関係で、予定よりも「物語の終わり」が延ばされてしまって締まらなくなったりしたことが考えられます)。

大学や専攻によって求められる論文の文章(文字数など)は異なりますが、漫画でいう読み切りであろうとも、長編漫画であろうとも、絶対的に存在する「何がいいたいの?」という軸さえあれば、その軸に肉付けをしていくだけなので、それほど困らないのです。

また、逆説的に卒論制作後、卒論発表会などの際に40ページなり50ページなりの論文を2ページの要旨にしたり、10分程度の発表内容にする必要性がありますが、「自分が言いたいことは何だったっけ?」というこの軸さえあれば、別段要旨や発表内容に困る必要性はありません。

ですので、この「論文規定分」は論文のスタートであると同時に、軸として、研究や論文に向かう間ずっと抱えていてほしいものなのです。

なお、ブログ主が担当していたゼミでは、時々忘れた頃に学生に、「ところであなたはこの研究で何がしたかったのか、一文で言ってみてください」と言ってみて、各学生が自分の論文規定文を忘れないようにしておりました(苦笑)。

可能かどうかは最初は考えず、とりあえず「案」を出してみること

研究計画書は先生などによってひな形が異なるので、難易度は変わりますが、それでもA4用紙1枚以上を書くことを考えると、上記の「論文規定文」は1行(最大3行)なので、「楽~!」と思う学生さん、多いと思います。

実際研究計画書よりとっつきやすいからこそ、初期段階の課題として出すものですしね(^^)。

しかし実際やってみられるとおわかりになると思いますが、思いのほか難しい課題であると思います。勿論なんとなくで一文作成することができますが、上記で求められている「①取り上げたいテーマ、論点、疑問点など」「②分析や論証方法、あるいは検証方法」「③想定される結論、主張」が「論理的なものか否か」、「新規性があるかどうか」などを考慮すると、最低限の知識が必要であることが実感されるためです。

ですので、教員の立場でいうと、3年生になった段階から、自主的に自分にとって興味のある文献を複数冊読んでいてくれ~!というのが心の叫びではありますが、知識の程度に関わらず、稚拙でもなんでもいいので、自分でいくつかこの文章を作ってみてほしいです(なぜ3年生段階で文献読んでいてくれ、といっているかというと、おおよそどこの専門でも卒論実施の前段階、特に3年生あたりでミニ研究の期間がでてくると考えるためです)。

卒論のテーマに困ってしまって、教員にヘルプを求めることは学生さんの権利として当然ですが、自分がやるべき「能動的・自主的に行う研究」を教員に丸投げすることはやるべきことではないはずです。

「自分はこういうことがやりたい」という興味の提示や、「論文規定文(あるいは先生の求める研究テーマを決めるための作業)」のここができないといった相談といったことをする足掛かりとして、必ずゼロではなく、なんらかの作業をすることが大事です。

最悪、ちゃんと一文になっていなくとも、ぐちゃぐちゃでも、「こういうふうに考えたという痕跡」を先生に見せて相談してみてください。「できてない」と隠すよりも、より早めに相談するほうがよい方向に向かうと思います。

本日のまとめ

今回ご紹介した「論文規定文」を作ってみるとよい点は、「自分の考えが視覚化」されることです。

脳みその中だけで考えたつもりになって、何をどう考えたのかを実際に文字化しない作業は、実際のところ作業性としてはよくありません。

なぜなら「作業した気分」になるだけだからです。しかし「紙に書く(あるいはPCなどのガジェット上に文字として残す)」というアウトプットをしてみると、その人の理解度や作業度合がわかります。意外と明白になるのが、「わかったつもりだったものが実はわかっていなかった」ということです。

「自分、わかってなかったのか…!」というのは結構ショックなことですけど、そこからスタートすればいいだけのことですから。

で、トライしてみてどうにもならないとき、特に「課題」として提出が求められている場合は、「課題提出」あるいは「発表」段階で「できませんでした」ではなく、期限の数日前に必ず担当教員に相談しましょう。重要なのは、「提出期限」に相談するのではなく、「提出期限に間に合うように、数日前に相談する」ということです。

「困ったら早急に教員に相談」というコミュニケーションが大事なのですが、なかなか「頭だけで考えている」と「自分が困っているか、わからないのか、わからない」という学生さんがあまりにも多いのです。ですから、今回記事にしました「論文規定文」に限らず、課題関係を実施するにおいて、考えていることを「文章化できるか否か」のように可視化させることって大事なんですよ。

ということで本日はここまで。最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

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