【雑記】画家さんの作品《風景》に描かれた土地に行ってみた

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タイトルだけ読むとなんだか御大層ですが、実際風景画なんかの調査・修復の場合、描かれた場所に行くことは別段特別なことではありません。とはいえ、絶対必ずしているわけでもありませんが、見に行くことが可能であるなら、行ってみるほうがよいと思っています。

風景。と一言にいっても色々ですけどね(汗)。

例えばブログ主が過去に修復した作品で「ああ~、現場に行きたい!でも無理なんだよね~(涙)」と思った風景画は、とあるヨーロッパの古城が描かれた作品でした。

当時は海外留学中で、院生時代に修復担当した作品でした。そして幸いにも留学している国内(日本の面積と比較しても非常に小さい国)にある古城でしたので、距離的・金銭的にはなんら問題はありませんでした。その上でどうして「現場に行きたくても行けない」かといいますと、そのお城がすでに壊されて無くなっているため、現場に行けても、「そのお城が建っている姿は決して見れない」というオチだったのです(涙)。

モチーフのお城が壊された時代は、まだ「カメラ」という技術が存在しない頃でしたので、その古城の写真もなく。だからこそモチーフのお城が壊されていることに、本当に愕然としましたね(苦笑。その作品の諸事情から、可能であれば、その作品以外に、証拠となるような直近の様子がわかるなにかが欲しかったんですよね~…)。

特に建物とかが描かれている場合なんかは、「いつ、その作品が描かれたんだろう」ということの証みたいになったり、逆にある歴史的なことを調査する際などに、何年に描かれた作品の中にこの建物があるから…みたいな作品が証人的な立ち位置になることもあるので、作品と場所と歴史みたいな関係性は結構面白かったりします。

反面、描かれた場所が全然わからない、ということもあります。町の名前がタイトルとしてあっても、そこの詳細にはどこで描いたのかが全然わからない、とかね。町、と一言でいっても、実際ピンポイントな場所を探すって結構大変でしょ(苦笑)。でも、描かれたピンポイントの場所が最終的には不明でも、実際その町に行ってみると、全体的な雰囲気とでもいうんでしょうかね。「ああ、こういう所で描いていたのか」みたいな納得感みたいなのを感じます。その納得感のためだけでも、調査・修復作品の故郷である土地に行ってみるというのは大事だったりします。

今回行ってみた場所は、「観光するならこの時期」とネットで見たので、正直単純に観光目的というのが前提なのですが(^^;)。同時にその町の名前を見て、「そういえば過去に修復した作品のタイトルに、この町の名前があったな…」と思い出されたためです。

具体的に名前は挙げませんが、静物、風景、人物と色々なタイプの絵を描く画家さんの作品ではありました。中でも風景に関しては大概「どこを描いたか」ということがピンポイントで分かる感じのタイトルを付けている中で、「町の名前のみ」という「その町のどこ?」が不透明な作品も数点ありました。そのタイトルとなっている町に行ってみたんです。

で、結論を言いますと、すごくよかった、です。行った時期もよかったんでしょうね。目的の観光場所もよかったのですが、そこに行くまでの道のりのあちこちに、「ああ、車を停めたい。ここで写真を撮りたい」と思う場所があったんです(ブログ主はもともと油絵を勉強していたので、絵を描きたいとも同時に感じましたが、もう長いこと真剣に絵を描くことをしていないので、なんというか同時に思いとどまるんですよね。苦笑)。絵を描くことが生業ではない人間でも、「残したい」と思う風景でしたので、画家さんにとっては「ああ、絵を描きたい」と色々思う場所なのだと感じることとなりました。

また、同時に思ったこととして、今、といいますか、ここ近年の話として、ネットの情報というもののおかげで、遠い場所、なかなかいかない場所の情報を簡単に得られるようになったり、SNSなどのおかげでガイドブックのような限られた媒体の情報だけじゃなく、不特定多数の現地に行った人の話も知った上で、大きな期待値を持ちながら旅行にいくわけです。失敗がないように。

でも当時、その画家がその町を描いたころは、ブログ主が子供の頃などですので、ネットなどはなく。自分であちこち車で回ったのだろうな、とか。もしかしたら「見せた」くはあっても、「秘密にしたい」場所でもあったのではないかとか、色々思うんですよね。そういう心持って、誰しもあるじゃないですか。とはいえ、画家本人の気持ちはやはり画家本人にしかわかりませんが(苦笑)。

実際、ブログ主が関わったその画家の風景画には、その町の「観光地」の場所はなかったんですよね…。もしかしたらたまたま修復の必要のない健康な作品にそういうのがあるのかもしれないですが。ですので、そういう意味でも「観光地的」な、誰もが知っている風景ではないところで、ゆっくり風景と対話したかったのかな…と思いを巡らせる感じです。

すでに調査も研究も修復も終わっている作品ですけどね。でも行ってみてよかったなと感じています。

という単なる個人的な日記の記事ですいません(汗)。最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

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