先日、異国で修行をした経験を持つシェフの記事を読み(残念ながらその記事のタイトルなどを失念し、検索をしてもみつからない状態ですので、ご紹介できない旨申し訳ありません)、「ああ、留学をした人の気持ちのままが書かれているなぁ!」と思った次第。
具体的かつ端的に何が書かれていたかといいますと(ブログ主が「ああ!」と思った部分に関してですが)、「海外での修行経験があったからこそ今の自分がある反面、もう一度あの修行をやるかと言われれば、やりたくない」と書かれていました(苦笑)。
正直、真剣に自分の将来がかかる修行や留学ってあれ以上の辛さはなかなかないので、経験者はなかなか勧めないですし、自身は二度とやりたくないという方、ブログ主含め本当に多いです(なおこの場合の留学に語学留学は含みません)。実際知り合いではありませんが、ブログ主が海外研修をしている時に、その研修している国で留学していた日本人が自殺したというニュースが入ってきて、私の周囲(研修先の人ですね)が私が自殺しないか、色々気を配ってくれたのを覚えています。幸いブログ主は留学中、死を願ったことはありませんが、自殺した方の気持ちはなんとなくわかる気がしました。
ちなみにそのシェフの方は、1日に一か所で修行したわけではなく、私の記憶によればではありますが、料理だけでなくお菓子などの修行も平行して行っていたんですね。ですので、それこそ朝から晩まで休みなく修行をすることで経験値を積み、同じ修行をしている人の中でも伸びもよかったのでしょう。その人が修行した先が某ヨーロッパの国だったそうですが、おそらく伸びが悪ければ上司から叱責がある反面、黄色い肌のアジア人が本家本元の白人の世界で人より早く伸びて行けば同僚からのいじめがでてくる。その国の一都市へ行ったことがありますが、カフェなどで、お客として立ち寄ってもアジア人への差別に合う可能性ゼロではない国ですので、いはんや競い合う場所で、アジア人差別がでないわけがないよなぁと思いながら読みました。
ブログ主自身も留学中わずかに人種差別だなぁということはされました。上記のシェフがされたほどではありませんが、理不尽でした。
だからですかね、なによりブログ主が嫌だったのは、自分を守る術がないことでした。アウェイの世界で、言葉というものを日本語程度に操れないことで、どんどん自分の人権が奪われるようなそんな気分がしていました。とはいえ一朝一夕に語学がうまくなるなんて奇跡は訪れない。
実はブログ主自身、留学しよう!と決めたとき(夢物語としてではなく、実際受験などの手続きもして…ということです)、リアルタイムで同い年で留学している日本人にそういう話をしました。すでにその時ブログ主は海外生活をしていましたし、海外でその方と知り合いました。その時にその留学中の友達から「正直、楽天的におすすめはしない。辛いから」と言われました。
彼女と知り合った時、私はすでに海外研修というものをしていて、海外生活をおよそ1年弱したころのことでした。海外生活といっても、上記のシェフとほぼ同じで、朝の7時前には家を出て、7時45分には専門機関で働いて(フレックスだったんです)、16時半位に終業、その後語学学校に行くかあるいは個人の修復関係者のアトリエで別の研修をするかという感じでした。当時車の免許を持っておらず(持っていてもお金もないので)すべて公共交通機関あるいは徒歩での生活で、どこに行くにも片道一時間くらい歩くことは普通にやっていたため、海外生活でありながら、夜一人歩きをするということを頻発してやっていました(本当はやっちゃだめですよ。苦笑)。勿論家に帰ってからは、資料作りや語学学校の復習などをするので遊ぶ暇もない、という生活をしていましたので、結構それなりに大変ではあったのです。
だからこそ、私は友人の言葉を話半分に聞いてしまった部分があったんですね。「今も結構頑張っているけど、全然耐えられないほどではない。私なら頑張れる」って(苦笑)。
でもね。嘘偽りなく、留学1、2年目のの平日の睡眠時間は3時間で(土日は5時間眠れました)、本当に必死で勉強しているのに単位が取れてもぎりぎりで。勿論再試を受けることばかり。
海外の大学は、ネイティブすら目の下に隈を作って勉強している状態な上、クラスメイトに関する運、ってものもあるのよね。私の同級生は助けてくれるタイプの人は本当にいなかった…。数少ない助けてくれるタイプの子は、家の事情、勉強についていけになどでドロップアウトすることが多くて、利害なしに助けてくれる人って本当に貴重でした。正直孤独でした。海外ってほんとドライなので、通常「利」がないと助けない気がする。恋愛感情含め。それはそれでややこしかったので異性には頼りづらかった…。
なんていうのか。いきなり泳げない状態で荒れ狂う鳴門海峡に突き落とされるような感じで(^^;)。いや、それって泳げても死にもの狂いじゃん、って世界ですが、本当に当時は死ぬか生きるかみたいな感じで。死なないように、沈まないように、少しでも泳ぎを停めるとダメになるって、それこそ必死で生きているのが留学生活でした。全然余裕がなくて。歯を食いしばりすぎて、あごをおかしくしたほどに(苦笑)。勿論非常に優秀な方はそこまで苦労しないのかもしれないですが、少なくとも私が知る留学経験者は皆、「しんどい時期」として苦笑いします。
ちなみに私はロングスリーパー寄りですので、あれほど人間が眠らずにいられるのかっていうのと、あれだけ眠らないままで授業を受けても「眠くならない」現実に、2年間、正直自分にびっくりしました(苦笑)。3年目以降は多少慣れた部分や、必須の授業数の減りなどのため、毎日5時間ほど眠れたんだったかな。でも、最初の2年間の疲れもどっと出て、それ以降は結構体調が大変だったんですよね…。
ただ、それほど大変でも私個人としては「これを学びたかったから」という点において、「納得」が得られたのでその点においては満足しています。正直その「学びたかった」ことは日本では学べなかったことでしたので。私がこの専門で仕事をする上での誇りでもあります。この専門で、人様からお金を頂いて、「仕事としてできる!」という確信を得られたことも、私が留学して得られたものの大事なものです。おそらく冒頭のシェフ氏も、海外で辛い経験を含む修行があっての「今」だからこそ、なんでしょうと思うのです。
周りの大人に「留学したいんだ」と言ったときに、場合によってはいい顔をされなかった…ということがもしあれば、おそらく理由は上記の通りだと思います。けっして楽しい日々ではありませんし、「毎日泣く」を留学で経験している人は多いからです(女性は特に)。
そこまで「辛い想い」して留学してまで「得たいものは何ですか?」「それは日本では得られないものですか?」など、いろんな問いを自分自身にされてみるとよいのではないかとブログ主は思います。
よく、「留学を引き留めるのは、うらやましいから」という説を出す方がいますが、そうではなく、それだけの時間とお金と労力を精神力をかける「意味」の有無が問われているのだと思っていただけたらと思います。勿論、留学を途中で放棄したら「負け犬」というわけではありません。経験は誰にも奪えないその人だけの宝もので、実際に留学に行ったからこそ得られた何かがあるからです。
今回某シェフ氏の記事を見て、ものすごく「ああ、わかる」という気持ちとなり、その気持ちを綴ってみた次第。
最後まで読んで下さり、ありがとうございます。。
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