本題に入る前に、こういう記事を書きながら、昔の記憶が思い起こされる不思議…という前座的なお話をお許しください(汗)。
私自身が小学生の頃合いでしょうか…。朝にはニュースといいますか、「めざましテレビ」的ものをBGM的に朝の準備をしながら見ていた記憶なのですが、そういう朝のニュース番組というのは硬い話だけじゃなくて、変わった人の話とかもやっていたんですね。…と書きながら本当に朝のニュースだったのか?とあやふやなんですけど(汗)。
で、とあるニュースで確か愛知だかそこらのおじさんが出てきて、健康法として一日一枚金箔を食べるだったか、そんなことを言っていたのを、この記事を書きながら思いだした次第です。
近年、金沢とかで観光客向けに、アイスクリームに金箔付けているのは見ますが、さすがに「健康」は謳っておらず。金箔自体に栄養素はないはず…ですし、消化吸収とかもされないのでは…?と思うので、実際薬にはならないだろうし、毒としてもどうなんだろう…?と今にして思うのですが、あのおじさんはその後お元気で長生きされているのだろうかと、ふと思った次第です(^^;)。
私個人としましては、おせちとかについてる金箔片ぱらぱら程度とかは「わぁ、きれい」と食指も動きますが、アイスに箔1枚まるまるにはなぜか抵抗感があります(苦笑)。なんというか、一枚べろーんとついているよりは、小さい金箔片がいっぱいついている方が食べやすい気もするんですよね(汗)。
というわけで以下本日の本題(汗)
行程⑧ 仕立て(仕上り上澄)
先の記事の「打上り澄」を30枚重ねて、それに20.1cm角の型を当てて「当たり」をつけて(型で「打上り澄」を折り曲げる)、折り目部分を截包丁で切り落とします。これが「仕上り上澄」といわれるものです。最初の行程、「金合わせ」から延金にして、この「仕上り上澄」までにする工程を専門にするのが「澄屋」さん。
つまりここまでの行程で全てではなく、「澄屋」さんのお仕事を次に「箔屋」さんが引き継ぐことになるのだそう。私自身、しっかり調べるまでは「箔製造」はひとところで、そして1人の職人がもくもくと…と思っていましたが、専門の行程を分業しているのですね。
また、先の記事などでも書いていますとおり、箔製造において箔打紙の質は非常に重要なわけで、そういう「実際に箔に触っている人」だけが「箔制作」をしているわけではなく、いわばその周辺の方々のご協力なしには良質な箔は作れないんですね。
行程⑨ 引き入れ
上記の「仕上り上澄」の厚みは 3/1000㎜厚さですが、実際の金箔は 1~2/1000㎜の厚さ。ということで「仕上り上澄」を打ち始めるところから、本格的な製箔行程にはいることになるようです(上記の通り「仕上り上澄」までは「澄屋」さん、ここ以降を「箔屋」さんがお仕事をすることからも、きっちり分業なんですね)。
「仕上り上澄」は20センチ角程の大きさですが、これを11あるいは12に切り分けるところから作業は始まる模様。参照している資料にこの切り分けの写真はないので、どう切り分けるのかは不明です。9等分とか、16等分にするんじゃないんだなぁという不思議(^^;)。どうカットして11あるいは12片にするんでしょうね。知っている方がいたら教えて頂けると嬉しいです。
この11あるいは12に切った「仕上り上澄」を「小間(こま)」と呼び、この「小間」を実際に打つまでは「広物帳」の間に並べて保管をするそうです。写真を見る限りは、本のすべてのページに金合金による押し花を作っているような感じ…というと伝わるでしょうか。
この「広物帳」は私が理解する限りは、金合金が一時的にお休みする場所、一時的な置き場という感じなのかな。で、実際に「箔に打つますよ~」というときに、この「広物帳」から「打紙」に小間を移動させます。この小間を「打紙」に移動させる所作を「澄の引き入れ」というようです。
これを打っていくようですが、現在は機械打ちで、手打ちは全く行われていないようです。
行程⑩ 渡し仕事、抜き仕事
上記の小間打ちで半ば打ち延ばしたものを、今度は「主紙(おもがみ)」に移し替えます。これを「渡し仕事」というようです。更にこの「主紙」で紙いっぱいまで打ち上げて、箔打ちが完了する模様。
打ち上がった箔は打紙からまた「広物帳」に移し替えられます。これを「抜き仕事」と呼ぶようです。
打ち上がった箔の大きさは、およそ16.5cm角というのが一般的で、ここから製品として10.9cm角の金箔ができます。
この「抜き仕事」においては、ただ「広物帳」に移し替えるのではなく、この段階で品質毎に別々の「広物帳」に分別もします。この分別において100枚の箔を収めた広物帳は、所定の金箔に切りそろえるまで「広物箱」に納めて一時保管されます。
行程⑪ 箔移し
最後の行程は「広物帳」の箔を、決まった4種のサイズに切りそろえることです。この作業全体を「仕上げ移し」というそう。4種のサイズは明治時代から現代まで同じサイズだそう。多分これは「箔を切る」といっても刃物で切っているからではなくて「定型の型」で切っているからでしょうね。
箔を切り終わったら、金箔の定寸に合わせた「切紙(きりがみ、間紙ともいう)」の上に決まったサイズに切った箔を1枚載せていきます。この作業を繰り返す。
この「切紙(間紙)」は岡山県津山特産の手すきの和紙で、これに箔を挟んでおくといつまでも紙が切紙に付着することなく、湿気を防ぐ特性をしてくれるのだそうです。箔を作る段階だけでなく、常に「紙」が箔の質を守っているんだなぁと、興味深いものですね。
今回参考にした資料にはわかりやすい写真もついていますし、当然ですが資料の文章の中からかいつまんで説明していますので、ご興味がある方は石川県箔商工業協同組合さんなどの資料をご覧になられたり、あるいは箔工芸館など専門家のお話が聞ける場所に行って観られるとより詳細にわかるだろうと思います。
とりあえず本日製造工程を全て記載できてよかったです。最後まで当記事を読んで下さり、ありがとうございます。ではではまた。
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