出張で岩手県釜石市に参った際、偶然にもお祭りとバッティング

雑記

お仕事の関係で、昨日までの約3週間程度岩手県の釜石市に行っておりました(長期間自宅を留守にするため、防犯のためにも通常リアルタイムには書きません。現在は岩手より戻っております)。

釜石は、電車でいくとわかりやすいのですが(今回の仕事においては、ブログ主は車で来ましたが)、釜石駅前に「鉄と魚とラグビーの街」と書かれているほどに、(ラグビーは置いておいても)歴史的にこれらで繁栄していた「海」と「山」の恩恵で栄えた土地です。もともと東北自体、長い製鉄の歴史があるようですが、釜石は日本において3番目に鉄道が敷かれ、また戦中においては本州で最初に爆撃を浴びたほど、日本に鉄を提供し、栄えてきた街なんですね。

また、この釜石は2011年の震災の被害も大きく受けた地域であるほどに、海に面しています。これまた電車で釜石駅にいくと、山がすぐそこに見えますので、「海?」と思うのですが(恥ずかしながらブログ主は当初「海?何いっているの?」でした)、駅から2キロ弱程度で港に着きますので、「海の街」であることにも容易に気づけることでしょう。

海があるということで、「海の幸」という恵があるとともに、「海」は「水運」にも使われます。歴史的に、大きく栄えた町というのは日本に限らず世界的にも「河」か「海」のどちらかに面しており、そういう水運の恩恵を受けていることが多いです(特にヨーロッパなんかの有名都市を地図で見るとわかりますが、大きな河の近くに都市が存在していますよ)。そういう意味で釜石という場所は、「海」によって「海産物」と「水運」という恵があったと思うんですよね。

で、釜石に行きますと簡単に気づくと思うのですが、やけに「虎」が目につきます。「すわ、釜石は阪神ファンの街か?」と最初は思うのですが(ブログ主だけでしょうか。汗)、この「虎」と「海」が結びついている理由を知ると、ものすごく納得します。

さてその出張中の直近の週末(金土日)は、3年ぶりの釜石まつりが行われました。このお祭りは釜石に古くから伝わる尾崎神社と、釜石製鉄所の守護神社である山神社の祭典を合同で行うものだそうです。

連日のお仕事でくたくたではありましたが、神楽や虎舞、山車や手踊りなど、「釜石らしい」お祭りと聞き及び、それは是非見なければならないと土日はお祭り三昧でした(笑。ただし金曜日は仕事の都合で見ておりません)。

土曜日は「曳き船まつり」といって、釜石の尾崎半島にある尾崎神社本宮(峠やらなんやらのために、地元の方は船でしか行かない場所だそうです)から市内の同じく尾崎神社の里宮(こちらは徒歩でいける)にご神体を奉還。

景気のよさそうな大漁旗をなびかせた船だけでなく、虎舞や神楽を載せた船がご神体をお載せしている船を先導して賑やかなこと、賑やかなこと(^^)。景気のよい歌(?)やらお囃子の太鼓や笛が響いて、日本人のお祭り魂が騒ぐ感じでした(笑)。祭りに「船」がでてくるという段階で、一般的な地上でのお祭りしか知らない身としてはすでに「ドーピング」な感じ(^^)。

で、それで終わりかと思えば、大通り限定なのかもですが、道なりにあるお店(飲食店などに限らず、ホテルでもなんでもお商売をしているようなところ)に、神楽と虎舞が別個で来訪・舞をやっていました。たまたま私がコーヒーブレイクをしておりましたカフェにも来ていて、びっくり!(あ、でも道なりのご家庭にも来ていたのかな?そこは不明)

商売繁盛を祈る縁起ものなようで、「こういうものにたまたまお店の中で遭遇するのは演技がいいですよ」とお店のマスターなどにおっしゃっていただく。この「各お店へご来訪」が結構長く続く模様(道なりのお店にやっているんだから、そうでしょうね。本当に奏者さんと演者さん、すごいなと思います)。

私が宿泊していたホテルは、たまたまこのお祭りのある大通りの中心のようなところにありまして(全然しらないまま予約をしておりました)、そのせいか夜の9時までお囃子の音が聞こえておりました。

日曜日には、市内を虎舞、鹿踊、神楽、山車、手踊りを先導として、尾崎神社と山神社の神輿がねり歩きます…というか、演舞をしながら行列していきます。一口に「虎舞」といいましても、町内?団体?によって伝承している踊りが違うようで、いろんな虎舞があるんですね。

鹿踊の発祥はブログ主はちょっとわからないのですが、釜石製鉄所の守護神社である山神社に奉納されている踊りなのかな。これは後日談ではあるのですが、釜石、結構鹿と親しい関係にあるようですね。某カフェのお姉さんが、「鹿ですか?いつも午後にはあそこ(某大型ショッピングセンターの広場)で2,3頭ほど、草を食べにきますよ。みんな写真撮っていますよ」と普通に説明してくれました…。私は写真を撮れるほど近くでは鹿には会えませんでしたが、釜石という地域の中では、鹿が身近な動物なんだろうなと感じることはできました(^^)。

先ほど書きました、「虎」と「海」の関係は、「虎は一日で千里行って、千里帰る」ということわざに起因するようです。「海」というのは「恩恵」を与えてくれると共に、決して安全な場所ではないですから、「早く安全な地上に戻れるよう」虎に祈りが込められているようです。現代においては船の物理的な技術向上や、船に乗る人の技術や知識の向上、船に乗る人達の経験などの語りつなぎなどで、もしかしたら海の事故などがはるか昔よりは少なくなっているかもだろうけれど、それでもそういう祈りや願いを込めての虎舞や祭りであると思うと、大事なお祭りだなぁと感じておりました。

こういった非常に賑やかな中で、神様のお神輿が町中を回り、最後に船で本宮に戻っていきます。本宮から神様が町中に来る際は、賑やかにたくさんの船でお迎えするのですが、お帰りは神様を載せた船のみ、一隻のみが本宮に向かいます。その間、神様が見えなくなるまで港で神楽や虎舞、お囃子がお見送りし、それ以外の人たちが神様に向かって手を振り続けているのが印象的でした。

地域の人によれば、新型コロナ以降お祭りが開催されていなかったこと、それと関わりがあるのかかつてよりはお祭りは小規模であったそうです。それでも、私が宿泊したホテルの中には、どこからいらっしゃったのか、このお祭りのためだけに何十年ぶりかで釜石に来た、という方もいらっしゃいました。実際、一度このお祭りは現場で見てみてほしいなと感じるものでした。

反面、神楽や虎舞、鹿踊などを伝えていく難しさというのももしかしたらあるのかもしれないなと思いつつおります。例えば鹿踊などは、江戸時代末期から始まったようですが、震災によって踊りと笛の名手を失い、活動休止状態が続いた過去があります(「橋野鉄鉱山・高炉跡」の世界文化遺産登録といった祝事を機に、鹿踊の保存活動がなされたようです)。震災の有無に関わらず、無形文化財の場合、「その行為を実施してくれる人・団体」の存在が重要なので、こういうお祭りを楽しみにしてくれる人、大事に思う人、是非やりたいと思う人、こういう多くの方に支えられてのものだと思うと、尊いものですよね。

ブログ主自身、「このお祭りがあるから、ここらへんで釜石に仕事に行こう!」と思ったわけではなく、全くの偶然にお祭りに遭遇できて、また、カフェなどでの奇跡などにも出会えて、本当に満喫しました(^^)。機会があれば、多くの方に見て頂きたいですね。

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