ここ連日、絵画(主に油彩画・テンペラ画)の構造についてお話しております中、直近の記事においては「絵画層」を構成する絵具の中でも、「油絵具」における「接着成分」である「乾性油」ってどんなものでしょうというお話をしました。
本日はこの「乾性油」に関してもう少々説明を加えさせてくださいね。
「不飽和」ということばをもう少し化学的な視点で考える
先の記事にて、「乾性油」というのはその中身として「不飽和脂肪酸」が65%以上あることが前提ですよ、というお話をしました。また、「不飽和」というのがどういうものかという説明も、「辞典」などの説明を踏まえて致しました(忘れちゃった!という場合は直近の記事をご覧ください。汗)。
上の「不飽和」というのを前回の記事とちょっと違う、化学の用語を混ぜていいますと、「二重結合」を含むものを指す、と考えるとわかりよいかもしれません(高校化学のお話になるので、もし中学生の方が読んでいたら、わかりにくいかも…)。
できるだけ簡易にこの「二重結合」というものをお話すると、例えば、自分の右隣の人と手をつなぐときってどうしますか?おそらく殆どの方が自分の右手でもって右隣の人と手をつなぎます。その状態のまま5分、あるいは10分キープと言われても、おそらくそれほど問題はないと思います。
ではさらに右手は右隣の人と手をつないだままの状態で、左手も手をつながなくてはいけない、という事態になったとします。仮に左隣に別の方がいる場合、きっとほとんどの方がこの自分の左側にいる方と、左手をつなぐという行為をします。さらに、両手とも手をつないだままで5分、あるいは10分キープといわれても、まぁ顔がかゆいとかなんとかは置いておいても、なんとか実施可能であろうと思います。
でももし、自分の左側含め、自分の周りに右隣の人以外に人間はいないけど、両手をつながなければならないという場合はどうするでしょうか?
おそらく殆どの方が右隣の方と両手で手をつなぐはずです。でも、この時にもし一つ条件がついていたら?すなわち、自分も、手をつなぐ右隣りの人も、身体の向きは常に同じ方向に向け、その状態を崩してはならない(横並びの状態)ことが前提の場合、どうするでしょうか。おそらく、左手を自分の頭の向こう(頭を超えた右側)に伸ばすという形にすると思います。この体制、お若い方、身体の柔らかい方だと問題ないかもですが、身体が固い人間からすると、結構辛い…(苦笑)。で、これを5分、10分とキープしろというのは結構辛いんですね。
そんな時に、もし左隣りに別の人が来て、「辛そうですね、手をつなぎましょうか」と言われたら、おそらくすぐ左手を右隣りの人から話して、左隣りの人とつなぐということをすると思うのです。
二重結合というのは、この「自分の腕2本の結合」のように考えてもらえるとよいです。
私自身化学を勉強した時に、「二重結合のほうが安定した結合」というわけのわからない理解をしていたのですが(二重と言われると、「強そう」とどうしても思ってしまうので…)、実は「二重結合」というのは「単結合」よりも全然反応性がよいのです。理由は上記のように、「二本目」の繋がりは「体勢として無理をしている」ことが多いので、「もっと楽に繋がれる」ところがあるなら、そこにすぐ「乗り換える(今の繋がりを切って、別の楽に繋がれる手と繋がる)」からです(腕二本ともの繋がり両方が弱いというわけではなく、「無理している部分」が弱い、ということです)。
逆に「単結合」というのは、別に無理があるわけでもなんでもないので、わざわざ無理して相手を切って、別の何かと結合するということはしたがらない。「手をつないでいる」ことが必要な世界の中で、安定して手をつなげる相手がいるのに、それを袖にするには「他のより安定できる相手」がいない限りは「自分が困る」ということになりますから。
あくまでもこういうのはより簡易に雰囲気を理解していただくための説明ですので、超理系の方からすると「それは違う!」という部分もあるかもですが、「二重結合」(あるいは三重結合も含みますが)があると、反応(変化)しやすいと考えていただけると簡単かと思います。
本日のまとめ的なもの
先にも少々書きましたとおり、ブログ主はもともと文系の人ですし、高校時代は化学を苦手にしていた部類ですので、正式な理系な方からすると、「?!」という部分もあるかなと思いつつおります。
反面、文系で化学が苦手だったからこそ、「化学ができない人間の詰まる部分」に対しできるだけ平易になるように説明を試みているのですが、どうでしょうか(汗)。
過去の自分が「不飽和」とか「二重結合」とか、その言葉の意味を腑に落とすまでが結構大変だった記憶がありますので…。でもここらへんの言葉の意味がわかるようになると、結構化学の話も「ああ」と思えたりするので、頑張ってもらえたらなと思います。
もう少し乾性油の話は続きますが、ご容赦ください。最後まで読んでくださり、ありがとうございます。
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