【用語】顔料に関する概要(ベルギーでの大学での授業Ver.15):昔の主要な顔料10(白色顔料:鉛白)

用語

毎度毎度同じシリーズ内で同じ文言を繰り返してはおりますが、前置きとしまして、この用語シリーズはブログ主が海外の大学で留学していた際に、授業でいただいたプリントの翻訳となります。西洋絵画を構成する素材の一つである「顔料」を理解する足がかりの一つとして記事にしております。

このシリーズの最初のものや、過去の記事にて他の顔料の説明をしている記事もありますので、よろしければご覧ください。

また各記事にくり返し書いておりますが、このシリーズは翻訳であることから、文章として固い感じがあるだろう部分があります点、改めまして先にご了承くださいませ(ぺこ)。

本日は白色顔料である鉛白の記事となります。

プリントの本文:白色顔料:鉛白

鉛白

屈折率は高く、2前後。被覆力は油の中でも高い。

吸油率は低い:100gの顔料をペースト状にするのに9~13mlの油で十分。

大変優れた乾燥性がある。

  • 最も古い合成顔料の1つ(中国、紀元前300年)、19世紀まで歴史の中で最も重要な白色顔料であった。亜鉛華や、とりわけ20世紀にチタニウムホワイトによって代用されるまでは。鉛白の特性はこれらの白色顔料の特性のいくつかの中で優れている。
  • 塩基性炭酸鉛
  • 鉛は1~3カ月の間、酢の上記にさらされることで(2つの別々の仕切りのある壺の中で)中間状態の酢酸鉛が得られ、次に堆肥の発行や酢の上記がもたらす炭酸ガスの作用によって、塩基性炭酸鉛に変化する。
  • 鉛白は油の乾燥を促進する:鉛白とリンシードオイルの脂肪酸との相互作用によって、大変丈夫な鉛石鹸を形成する。これによって古い絵画の肌の色の箇所が大変良い保存状態にありうる(堅くで丈夫な塗膜を与えてくれる)。
  • 卵テンペラや油彩、とりわけ西洋絵画において用いられる。

プリントの本文

Blanc

Blanc de plomb

Indice de réfraction élevé voisin de 2, pouvoir couvrant élevé même dans l’huile.

Faible prise d’huile: 9 à 13 d’huile pour 100g de pigment suffisent pour donner une pâte.

Excellentes prpriétés siccatives.

  • Un des plus anciens pigments snthétiques (Chine, 300ans avant J.C.), le plus important des pigments blancs de l’histoire jusqu’au ⅩⅨème siècle, remplacé par l’oxyde de zinc, et surtout au ⅩⅩème par le blanc de titane, superieur dans quelques-unes de ses propriétés.
  • carbonate basique de plomb
  • le plomb était exposé pendant 1 à 3 mois à des vapeurs de vinaigre (dans un pot ayant 2 compartiments séparés) de façon à obtenir un acétate plomb intermediaire qui se transformait ensuite, sous l’action du gaz carbonique apporté pa la fermentation du fulier et de la vapeur d’eau du vinaigre, en carbonate basique de plomb.
  • accélère le séchage de l’huile: grâce à une interaction avec les acides gras de l’huile de lin, il se forme des savons de plomb très resistants, d’où peut-être la très bonne conservation des carnations des peintures anciennes (donne un film dur et résistant).
  • utilisé à tempera à l’oeuf ou à l’huile (surtout) dans la peinture européenne

本日のまとめ

白色、特に鉛白は西洋絵画を語る上で、そして油絵やテンペラ画を調査・修復する上でも重要で必ず念頭にある顔料です。

油絵を描くことがありましたら、是非亜鉛華やチタニウムホワイトなどとの違いを肌で感じてほしいのですが、色味は勿論のこと、使用感や乾燥性、使いやすさ、安定感などの違いが多分お分かりいただけるかと思います(勿論個人の好みもありますので、鉛白万歳はもしかしたらブログ主個人の偏った趣味であることもあるかもですが ^^;)。

実際使ってみること、実感があることというのは作品の観察や理解、最終的に調査や修復に至るにおいて非常に重要な経験になると思っています。なぜなら同じ「白」という絵具でありながら、どうして3種類もあるのかなどということを考えた場合に、きちんとそこに理由があるからなんですね(今回のプリントの説明には、鉛白の重要な情報が記載されていませんでしたが…)。

画家さんによってはとりわけ愛している白色があったり、異なる3種類の白色を理由ありきで使いわけなどをしていらっしゃったりするので、画家さんや作品を理解する上でも非常に面白い色かと思います(^^)。

ということで本日はここまで。最後まで読んで下さりありがとうございます。

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