【用語】顔料に関する概要(ベルギーでの大学での授業Ver.16):昔の主要な顔料11(黄色顔料1:鉛と錫の黄色の複酸化物1/2)

用語

毎度毎度同じシリーズ内で同じ文言を繰り返してはおりますが、前置きとしまして、この用語シリーズはブログ主が海外の大学で留学していた際に、授業でいただいたプリントの翻訳となります。西洋絵画を構成する素材の一つである「顔料」を理解する足がかりの一つとして記事にしております。

このシリーズの最初のものや、過去の記事にて他の顔料の説明をしている記事もありますので、よろしければご覧ください。

また各記事にくり返し書いておりますが、このシリーズは翻訳であることから、文章として固い感じがあるだろう部分があります点、改めまして先にご了承くださいませ(ぺこ)。

この記事からは黄色顔料のお話です。

プリントの本文:黄色顔料1:鉛と錫の黄色の複酸化物1/2

黄色

鉛と錫の黄色の複酸化物

屈折率2もしくはネープルスイエローに匹敵する高い数値を示す

油を用いた際の高い被覆力(ネープルスイエローと類似値を示す)

吸油量:15~25%

  • 酸化鉛と酸化錫の混合物。ボローニャ写本(15世紀前半)の中に最も古いレシピを見つけることができる。しかしこの黄色は14世紀(1300年頃)から18世紀(1750年以前)まで画家により使用された:オーピメント(ヒ素の硫化物)は自然界に属すると同時に紀元前1580~1314からエジプトで知られていた。
  • マシコット(北方写本より:一酸化鉛、絵具では珍しい黄色)やイタリアのGiallolinとはこの顔料異なる。このGiallolinはまた、しばしばマシコットの同素体の変種の一つであることからと混同されるリサージとも異なる。(様相の違いは物理特性の違いを与える)しかし絵画に関する古代の写本にて「マシコット」や「Giallolin」と呼称される顔料は、複酸化黄色を示す。

プリント本文

Jaune

Jaune double oxyde de plomb et d’étan

Indice de réfraction 2 ou plus équivalent à celui du Jaune de Naple.

Haut pouvoir couvrant à l’huile (semblable à celui du Jaune de Naples).

Prise d’huile: 15 à 25%

  • mélange d’oxyde d’étan et d’oxyde de plomb. La plus ancienne recette connue se trouve dans le Manuscrit de Bologne (1ère moitié de ⅩⅤème siècle) mais ce jaune a été employé par les peintres du ⅩⅣème siècle (vers 1300) jusqu’à ⅩⅧème siècle (avant 1750). Avant 1300: orpiment (sulfure d’arsenic qui appartient à l’état naturel et connu en Egypte dès 1580-1314 avant J.C.)
  • différent du Massicot (des Manuscrits du Nord: un oxyde de plomb, un jaune rare en peinture) ou du Giallolino en Italien (un protoxyde de plomb jaune qui est encore différent de la lithage, qui a été souvent confondue avec la Massicot dont elle est une variété allotropique (une forme différente ayant des propriétés physiques différentes). Mais les pigments désignés sous le nom de “Massicot” et “Giallonino” dans les manuscrits anciens reltifs à la peinture désigneraient ce jaune double oxyde.

本日のまとめ

今回の黄色に関しましては、本文が少し長めですので2回に分けさせていただきました。

先の白色顔料でも、鉛が主成分の顔料があることを思い出していただけると、絵画を機械にかけて「鉛」の成分があると出たとて、作品を構成する顔料が「鉛白」とは限らないよね、ということを話す上でこういう同じ成分を含む違う色の話というのは非常に興味深いものです。

また、我々文化財保存修復関係者の場合、機械にかけた結果が「ずばりこれです」という回答に結び付かないことを理解しているので、だからこそですが、機械にかけようとかけるまいと、それ以前にあらゆる調査方法を用いて、できうる限り様々な角度から作品を構成する素材について理解しようと努力を試みるんですね。

本当に「作品を理解する」ということは奥が深くて。どんなに色々調査しても、やはり完全に作品や作者を理解したという境地にはなかなか…で。人間も作品も、そんなに簡単にその正体がわかるものであれば、こんなに惹かれる存在じゃないですからね(^^;)。なかなかややこしいものです。

というわけで本日はここまで。最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

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