【用語】絵具に関する概要(ベルギーでの大学での授業Ver.27):結合剤と希釈材7:炭水化物もしくは糖質類3

用語

毎度毎度同じシリーズ内で同じ文言を繰り返してはおりますが、前置きとしまして、この用語シリーズはブログ主が海外の大学で留学していた際に、授業でいただいたプリントの翻訳となります。西洋絵画を構成する素材の一つである絵具を理解する足がかりの一つとして記事にしております。海外の大学のプリントではありますが、こんなこと理解する必要があるんだ~くらいの体感もしていただけるかなと思いつつおります。

また各記事にくり返し書いておりますが、このシリーズは翻訳であることから、文章として固い感じがあるだろう部分、あるいはわかりにくいがあります点、改めまして先にご了承くださいませ(ぺこ)。顔料や絵具に関しましては、現在やっている【用語】シリーズに関わらず、すでに過去の記事で何度か書いている部分もありますので、そちらもご覧いただけるとわかりよいのかな…と思いつつおります。

本日は結合剤・希釈剤の中でも炭水化物もしくは糖質類、さらに詳細にはアドラガンドゴムと果樹のゴムに関してお話します。

プリントの本文:結合剤と希釈材7:炭水化物もしくは糖質類3

アドラガントガム

このガムはレンゲ族の異なる種類(異なる1600種以上)やギリシャやイラン、シリアおよび一般的に全てのマイナーアジア域で生息する豆科植物から生じる。

ゴムは幹の真新しい傷からにじみ出る。しかし最良の収穫、よりよい質のものを得るには根へ刻み目を入れることによる。ゴムはほとんど無色のリボン状に滲み出るが、1,2日で乾く。

アドラガントゴムは、大変粘り気のある溶液を形成すると同時に、低い濃縮の溶液を形成するという極めて重要な特性を示す。

優れた保護コロイドとして、アドラガントゴムはエマルションや分散系を安定させるためや、濃化剤として使用された。アドラガントゴムは同様に製薬工業や美容業において広く使用される。

果樹のゴム

いくつかの古いレシピにおいて果樹のゴムはとりわけ手書きの装飾写本に使用されていたと書かれている。桜、プラム、桃のゴムが疑いなく頻繁に使用されていたようだ。これらの生産物は不揃いで、量も多くはなく、褐色がかった着色がわずらわしい。

プリント本文

Gomme adragante

Cette gomme est produite par différentes espèces d’astragales (plus de 1600 espèces différentes), des légumineuses poussant en Grèce, en Iran, en Syrie et en général dans toute l’Asie Mineure.

La gomme exsude des blessures récentes sur la tige, mais on obtient un meilleur rendement et une meilleure qualité en pratiquant une incision dans la racine. La gomme exsude alors sous forme de minces rubans presque incolores qui sèchent en 1 ou 2 jours.

La gomme adragante présente la propriété extrêmement intéressante de former des solutions très cisqueuses, même à faibles concentrations.

Excellent colloïde protecteur, la gomme adragante est utilisée pour stabiliser les émulsions et les dispersions et comme agant épaississant. Elle est aussi largement utilisée dans l’industrie pharmaceutique et cosmétique.

Gomme d’arbres fruitiers

Certaines recettes anciennes rapportent que ces gommes furent utilisées notamment pour les enluminures de manuscrits. Il s’agit sans doue le plus souvent de gomme de cerisier, de prunier ou de pêcher. Leur production est irrégulière, souvent peu abondante et eur coloration brunâtre est gênante.

本日のまとめ

今回の記事は実際絵画用のゴムではないのですが、興味深いですよね。

果樹のゴム(ガム)というものをブログ主自身おそらく見たことがないのですが、時期的に桃や桜の花が遠からず見れるころであることを思うと、違う目でこれらの樹木を見つめるような気分になりますよね(^^;)。いえ、樹木に傷をつけるという不埒な真似はしませんよ。

あるいは逆にどうして写本ではそういう素材が使われたのかな?ということも興味深いですよね。そういう時に、勿論作品を構成する素材自体のコンビネーションもそうなのですが、写本が作られた時代背景や国地域の文化、宗教的考え方、誰がそれらを作っていたのか、などなどなど、そういうことが明確になると「ああ、それで」と腑に落ちることになるでしょう。こういう風に考えると、調査・研究する作品の制作年代などによっては、非常に民俗学や場合によっては考古学とリンクするような専門が文化財保存修復という専門であることがなんとなく推察していただけるかなぁと思います。

こんな古い素材や技術を掘り起こしても意味ないやんと思われそうですが、過去の失われた技術の再発見(だったかな?)で特許をとられている研究者を知っています。「現代の知識が最高」ではないかもしれないという、なんていうんでしょうね、間口を広げることで一人の人としての情報の受け取り量が異なってくるのかもしれません。ブログ主自身、注意しなくちゃなぁではあるのですが、思いこみって結構怖いですからね(^^;)。

というところで本日はここまで。最後まで読んで下さりありがとうございます。

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