【雑記中の雑記】香害

雑記

世の中不思議なもので、たばこや体臭、ごみの臭い…、そういうものを「臭い」「嫌い」ということは「当たり前」みたいなのに、「お金を払ってよい香りであると認識されているもの」に対して「やめてほしい」「困っている」ということは、なかなか言えません…。

ブログ主はもともと鼻が利く人ではないのですが(むしろ鈍いほうだと思うのですが)、ごく小さいころから「柔軟剤」の使用は医者から止められている人です。別にそれが死に直結するわけではありませんが、ごくわずかながらも体に異変は出ます。ただ、それは体に柔軟剤を使用したものが長時間肌に触れる、という時に発生するもので、臭い云々で医師にとめられていたわけではなかったとは記憶しています。

ただ、子供の頃の柔軟剤というのは香りのつよいものではなかったのか、現代のように「香害」の例の一つに持ってこれるほどではありませんでしたが、ここ近年、本当に香害が酷くなりました。

ブログ主の柔軟剤に対する反応は、当初の肌問題とは違うのですが、近年はひどい頭痛に襲われる、というものも加わっています…。嫌な言い方をすれば、知らない人に、こちらは何もしていないのに、いきなり暴力を加えられているような気分になります。しかも本人は「自分が気分よくなるために」、「他人に臭いで嫌な思いをさせないために」なのだろうと思うと、何も言えなくなります。全ての人にとって不快なものではない。少なくともその柔軟剤を多用している方にとっては幸せを呼ぶものであるのに…と思うと、こちらも何かが言い難い。

こういう頭痛は柔軟剤だけではなく、かつて外国暮らしだった時に「多量に振りかけられた香水」でも発生しました。海外の場合は、3階にいる私が、1階にある人物が来た!とわかる程度に香水をつけている方がいました(苦笑)。正直、マナーとしては最悪です。こういう場合最終的に頭痛は吐き気も加わってとてもじゃないですけど思考することができなくなるのですが、そういう人と一緒に吐き気をこらえて食事をし、思考できなくなったがんがんする頭を抱えてフランス語で談笑するという苦行によく耐えたと思います。

香害による加害は見えるものではなく、またいかに被害を受けている方が困っているか否かは表現してもおそらく加害側には決して伝わらない。だって目に見える形で、例えば私が柔軟剤に「触れた」ときに出る「肌症状」のように可視化しない限りは、どう被害を受けたのかは証明しがたい。そういうのだと思います。

とはいえ、「香り」が何が何でもダメなのではありません。ブログ主自身、香水は本来好きですし、使っています。お香も焚きます。自分が気づかないくらいの香りだと問題ないのです(そうすると「何のために香水をつけているのだ」という方が一定数いそうですが、本来香水などはごく親密な関係の人や、ちょっとした瞬間に本人が気づく程度に使用するものであって、「まき散らす」べきものではありません)。また、あくまでもブログ主に限定することですが、天然の臭い・香りは大丈夫なのです。ちなみにたばこの臭いも嫌いですが、それでも頭痛や吐き気まではでません。嫌な言い方をすれば、天然の香料というのは非常に高価だからこそ、その代替えで安価な化学製品が出てきて、それが大量消費されているわけです。しかし化学的なものはごく少量ならおおよそいかなる人でも大丈夫なのでしょうが、大量な場合は受け付けない人が少数なれどいるんですね…。

ブログ主が大学で教員をしていたころ、短い年数ではありましたが、だんだん柔軟剤の香りをまとう学生が増えました。いえ、おそらく柔軟剤を使っている学生自体は多いのでしょうが、非常に強烈に教室に臭いを充満させる学生が増えました。正直苦痛でした。

不思議ですよね。これがポマードてかてかおじさんで、ポマードが匂う場合。でっぷりしたおばさんが香水ぷんぷんしていたら、皆さん、顔をゆがませますよね。あとで友人や家族などに「こんな人がいてさー、最悪!そんなんで公共の場にくるなよ!」なんて言っちゃいますよね(汗)。それが、柔軟剤だとなぜこんなに言い難い事象になるんでしょうね…、疑問です。

一番ひどかったのは、提出させたレポートが柔軟剤臭かったことです。レポートを柔軟剤に漬け込んだのか?と疑問になるほど、そのレポートは臭かった。そのレポートが研究室にあるだけで、研究室が柔軟剤臭くなりました(冗談ではなく、本当に)。ブログ主はレポートなどは通常数年保管するので(だいたい学生自身が卒業するまで)、心底困りました。嫌がらせかとすら思いましたから(苦笑)。

これが学生の場合は直接教員にいうか、あるいはアンケートで無記名で文句をつけるか、あるいは事務局に文句が来るか、場合によっては親が出てきて文句がでてくるかのいずれかで解決ができる気がします。しかし、教員には逃げ場がありません。学生に直接いえばハラスメントになり、事務局に言えば「そんなことで」と一笑に付される…。学生と関わる限り、この香害と一緒かと思うと、個人的には辛いものがありました。

そういう意味合いでも、少なくともその大学でお仕事をするのは限界だったんでしょうね。

今も公共の乗り物で柔軟剤臭い人に出会うことは多々あります。家の前を通ると柔軟剤臭い家もありますね。

臭いだけは、我慢の限界があります。ずっと息をしないままいることもできません…。またこういう香害の空間に閉じ込められると、自身の体、服、鞄などに臭いが移り、結局それらを洗うまで、そこから逃げることはできません…。好き嫌いではなく、身体としてそういう化学的な臭い(というか化学物質自体)を受け付けない人がいること、もっと広まるといいなと思います。

だってやっていることとして、大げさにいえば食物アレルギーの人に、「大げさだ」「みんな大丈夫なのに」とアレルギー源の食べ物を無理に食べさせようとしているのと同じですから…。

何も柔軟剤などを使うなとは思っていません。先にも書いたとおり、私自身、香水などは好きなのです。要は使い過ぎないでほしいって話なのです。自分の鼻がバカになるほど常用し、周りの体調を悪くさせるほど使用しないでほしいのです。そういう香りを付ける権利があると同様に、それを「少し弱めてほしい」と言える権利も欲しい。今はその「少し香りを弱めて」と言えない状態であるからこそ、そういう香りで体調がおかしくなる身としては、切実な問題です。

自分が大丈夫だからこそ、他人が苦しんでいることがわからないというのは当然だと思います。だからこそ、こういう人もいるんだ、ということが少しでもご理解いただければという感じです。そもそもに、こういう香害問題があること香り関係の会社はわかっているのだから、柔軟剤を作っている会社もなんとかしてくれ~と、思うのですけどね。需要があるから生産するのでしょうし、なかなか難しいのかもしれませんね。

ということで本日は本当にほぼほぼ保存修復関係ない話で申し訳ありません。それでも最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

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