毎度毎度同じシリーズ内で同じ文言を繰り返してはおりますが、前置きとしまして、この用語シリーズはブログ主が海外の大学で留学していた際に、授業でいただいたプリントの翻訳となります。西洋絵画を構成する素材の一つである絵具を理解する足がかりの一つとして記事にしております。海外の大学のプリントではありますが、こんなこと理解する必要があるんだ~くらいの体感もしていただけるかなと思いつつおります。
なお、このシリーズはタイトルでもすでにご理解いただけるかとは思いますが、すでに20回を超えるものとなっております。顔料の話もしておりますし、今は結合剤や希釈剤の概要の話をしております。ですので、色々知りたいなぁと思われましたら、過去の記事も是非さかのぼってご覧いただけると幸いです。
また各記事にくり返し書いておりますが、このシリーズは翻訳であることから、文章として固い感じがあるだろう部分、あるいはわかりにくいがあります点、改めまして先にご了承くださいませ(ぺこ)。顔料や絵具に関しましては、すでに過去の記事で何度か書いている部分もありますので、そちらもご覧いただけるとわかりよいのかな…と思いつつおります。
本日も結合剤・希釈材に関する概要を記事としますので、よろしくお願いします。
プリントの本文:結合剤と希釈材4:概要4
希釈剤
画材の流動性を高めるために、希釈剤や溶剤を使用する。用いる揮発しやすい液体が結合剤を溶解する際に溶液という。このように、水はグワッシュや水彩の溶剤ということができる:テレピンは油の希釈剤である。
芸術用絵具において、揮発性の希釈剤は殆どない。水以外では、植物性精油、特にテレピン精油とその後炭化水素(石油由来)のみしかない。
使用した液体が結合剤を溶解せず、しかし流動性を高めるものを希釈剤として話す。エマルションにおける希釈剤とは。水は脂肪質の少ないエマルションの流動性を高める:水はこのようなエマルションの希釈剤である。同様に脂肪質の多いエマルションの希釈剤は油である。
希釈剤や溶剤は完成した作品には何も残らない、一時的なものである。揮発性の希釈剤は絵具のペーストの粘りを減らし、流動性を上げ、筆による肉付けの滑らかさや、デッサンの実現を適する形にします。
プリントの本文
Pour fluidifier la manière picturale, on utilise des diluants et des solvants. On parle de solvant lorsque le liquide volatil utuilisé met en solution le liant. Ainsi l’eau est le solvant des gouaches et des aquarelles; la térébenthine est un solvant des huiles. En peinture artistique, les diluants volatils sont peu variés. Outre l’eau, on ne trouve guère que des essences végétales dont avant tout l’essence de térébenthine puis plus tard des hydrocarbures (dérivés pétrole).
On parle de diluant quend le liquide utilisé ne met pas en solution le liant mais le fluidifie. On parle de diluant pour les émulsions. L’eau fluidifie une émulsion maigre: l’eau est le diluant de cette émulsion. De la même manière, l’huile est le diluant des émulsions grasses.
Produit éphémère dont il ne reste rien dans l’oeuvre achenée, les diluants volatils rendent les pâtes minces et fluides et les pinceaux aptes à rendre un dessin précis ou la douceur d’un modelé.
本日のまとめ
大学で教えている時でも、よく混乱されたのが、「結合剤」と「希釈剤」でした。
文字通り「結合(2つ以上のものが結び付いて1つになること)する」と「希釈(溶液の濃度を薄めること)する」と考えるといいのですが、それでもなかなか難しいのかもしれませんね。
この両者の違いがあまりよくわからない…の代表になるのが「油絵具」における「結合剤」と「希釈剤」なのかなぁと思ったりします。作品を描く際に、少なくとも2種類の液体(乾性油と精油)を使うので、「なにがなにやら」になっちゃうんでしょうね(^^;)。
わかりやすく言い換えると、「結合剤」というのは、「絵具を構成する顔料同士は当然のこと、これら顔料と基底材や下地などとも【一体】になるために使われる素材」。これに対して「希釈剤」というのは「結合剤の【一体】になる力を弱める、削ぐ素材」と考えるとよいかもしれません(勿論使用する役割としては、きちんと美的役割をするのですが、大きな違いを簡易的に説明するとこんな感じですかね)。
こういう両者の違いがわかると、特に油絵具の保存修復だけでなく、「制作」する上でもすごく役に立つかなと思います。
というわけで本日はここまで。最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
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