毎度毎度同じシリーズ内で同じ文言を繰り返してはおりますが、前置きとしまして、この用語シリーズはブログ主が海外の大学で留学していた際に、授業でいただいたプリントの翻訳となります。西洋絵画を構成する素材の一つである絵具を理解する足がかりの一つとして記事にしております。ただ、もし文化財保存修復を学びたいなーという方が読まれている場合は、こういう記事のみをうのみにするのではなくて、いろんな文献を比較参照してくださいね(^^)。
また各記事にくり返し書いておりますが、このシリーズは翻訳であることから、文章として固い感じがあるだろう部分、あるいはわかりにくいがあります点、改めまして先にご了承くださいませ(ぺこ)。顔料や絵具に関しましては、現在やっている【用語】シリーズに関わらず、すでに過去の記事で何度か書いている部分もありますので、そちらもご覧いただけるとわかりよいのかな…と思いつつおります。
本日は現代においては制作でも修復でも、おそらく高頻度で使用されるだろう樹脂であるダンマルに関して。
プリントの本文:結合剤と希釈材24:トリテルペン:ダンマル
ダンマル
- ニュージーランドからフィリピン、とりわけインドネシアの島々で見られる双子葉植物(被子植物)の科目の木に由来する。特定の樹脂は大変硬質で化石化したものである。最もよく使われる品種は、木の幹を切開することで得られるが、採取はしばしば困難である:木がよい品を生産するまえに50年を要する。
- 樹脂は非常に薄い黄色の丸みを帯びた塊の状態にある。A級品のダンマルは鳩の卵くらいの大きな断片を示す。
- ダンマル樹脂の主な欠点は高度が低いこととべとつく傾向である。さらに経年後ワニスは黄変し、溶解しにくくなる。ダンマル樹脂は通常古いレシピの中では殆ど引用されていない。ダンマルは20世紀にワニスの中に現れる.
プリント本文
TRITERPENE
Dammar
- Proviennent d’arbres de la famille des Diptérocarpacées (Angiospermes) que l’on trouve depuis la Nouvelle-Zélande jusqu’aux Philippines, mais surtout dans les îles indonésiennes. Certaines résines sont fossiles e très dures. Les variétés les plus utilisées sont obtenues par incision des troncs, mais la récolte est souvent très difficiles: il faut attendre 50 ans pour que l’arbre fournisse une bonne production.
- La résine se trouve sous formes de masses arrondies d’un jaune très pâle. La qualité A présente des morceaux gros comme un oeuf de pigeon.
- L’inconvénient majeur des résines dammar sont leur faible dureté et leur tendance à poisser. De plus, avec le temps, les vernis jaunissent et deviennent diffiilement solubles. Les résines dammars sont en général peu citées dans les recettes anciennes. Elles apparaissent dans les vernis au ⅩⅩème siècle.
本日のまとめ
ブログ主自身、油絵を描いていた頃は調合液を自分で作っており、その際にダンマルを使っていましたので、制作時によく使ったなぁと思いつつ、同時に自分の作品を修復するのはやっかいだろうなぁとも思いつつと、ダンマル樹脂を見ると複雑な気持ちになります(苦笑)。
ダンマルはじめ、樹脂を乾性油代わりに油絵制作に使用すると、油絵具の固化が早くなるという意味で重宝されるのですが、同時に確実に言えることとして、「結合剤(乾性油)」の必要量が満たされないこととなるので、作品自体が脆くなる傾向があります。
ブログ主の美大受験の頃は「受験絵」といって、「受験の間(制作して合否判断される数日)だけ保てばいい」という概念で、結構変なhow toが流行ったもので。でも習った環境や時代、人によっては、それが「受験絵」という考えではなくて、「便利な技術」としてプロとなった後も使用していることがあるので(作品を早急に生産する必要があるのか…)、そこが怖いところだったりします。
修復の立場からすると、いろんな欠点がありながらも、非常にお世話になる素材であることから思うことですが、どんなに素晴らしい素材でも、用法容量を守るとか、技法材料に忠実にとか、基本的なところを押さえるって大事だなって改めて感じます。
というところで本日はここまで。最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
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