卒論、難しく書かなくても大丈夫

修復を学ぶ

ここしばらく卒論関係の記事を書いております。

ここまでの卒論関係の記事で、小難しい文章を書かなくちゃ~と頭を抱えている学生さんがもしいましたら、それは違うよ、ということを今回お伝えしたく思います。

勿論、お友達同士のラインやメールのようなカジュアルな文章がダメだったり、必ず主語を付けなきゃとか、適正接続詞をつけろとか、ややこしいことを言っていますが、文章を無駄にいかめしく、えらそうな感じにしろとはいかなる大学も求めていないと思います。

むしろ逆で、難しい専門的な話を、例えばそれを学んだことがない自分たちの親だったり、他専攻のお友達だったり、弟妹だったり、将来的に同じ専攻を学びたいと願っている高校生だったりが論文を読んだり、あるいは発表をきいてもわかる!という嚙み砕きのほうを求めているといっても過言ではないかと思います。

なぜなら、素人(専門外の人)に専門のことを理解させるには、ただ文献を読みましたではなく、文献に書いてあることを腑に落として、自分の血肉にして、その自分の血肉なり知識になった形で話をする必要があるからです。だいたいアウトプットされた文章あるいは会話などで、「ああ、この人はよくわかっているのだなぁ」とかあるいはその逆というのはよくよくわかるもので。その際に、やけに難しい言い回しをする人はあまり信用しないほうがよいんですね(^^;)。その人が全然勉強していないとは言えませんが、血肉になるほどにはまだ理解していない可能性があるので。

ですので、ブログ主が大学で教鞭をとっていた際、ゼミの学生には「あなたたちが顔を向けるのは私たち教員ではい。同じゼミの3年生、あるいはまだゼミに入る前の下級生にわかるようにという意味で、下級生の方向に顔を向けて話をすることを考えよ」と言っていました。

大学の先生というのは当然学生より知識も経験もあるわけで、そういう人が学生の話を聞くときは、情報が欠如している部分もすべて自分で補って話を聞くので、「この学生さんの説明、わかりにくいなぁ」と思っても、ついていけます。あたかも、小学生1年生のお子さんを持つお母さんが、つたない小学校1年生の子供の話を、「こういうことがいいたいのだな」と思いながら聞くようなものです。

でも、逆はできないですよね。小学校1年生のときに子供ベースで話されていない大人の会話って全然理解できないじゃないですか。ですので、そうならないように、「自分の論文を将来的に読むのは下級生だ、この発表を聞いている人の中で一番人数が多いのは下級生や他ゼミの人間だ」という、「わかりにくいだろうことを、それを知らない人にわかってもらう」という努力をすることが大事なんだよ、ということをご理解いただきたいのです。それが分かれば、えらそうな文章とか、いかめしそうな文章を卒論で求めているわけではないことがわかってもらえるかな、と思います。

私自身が某国立大学大学院所属だった時、担当の先生が「新聞は中学2年生の学生が読めることが基準だからね。難しい案件でも新聞が中学2年生程度がわかる程度に書いていることが前提とわかれば、論文だって同じように書くべきだ」のようなことをおっしゃっていたのですが、そういう修士時代を経て、私自身恩師のおっしゃるとおりだなぁと納得しています。なにより「他者に内容が理解され、伝わる」ということが論文においては大事なことだと思っていますので。

まぁ「他者に内容が理解され、伝わる」のためには、まず自分自身が誰よりもその研究内容を理解する!ということが前提にはなりますが(^^;)。

論文なりなんなりの書き方として、前の記事で「よい文章」を見つけてマネてみる、ということをお勧めしておりますが、単純に「わかりよい文章を書く」ということを学ぶのであれば、新聞の「社説」などのコラム欄などで勉強するのも一手だと思います。

先ほど書きましたとおり、新聞は「中学2年生がわかる文章」が前提の、非常に優れた文章が書かれている媒体です。中学高校の「小論文」対策においても、この新聞のコラムで勉強するということは国語の先生がよく推奨している方法ですので、「文章を学ぶ」という意味においては非常に有用であると思います。そもそも新聞のコラムは非常に短文ですから、学ぶにおいて負担も小さいですし、新聞自体とらなくても、どこの学校の図書館にも必ず新聞、ありますから、わざわざ購入する必要もありません(場合によっては図書館が新聞を廃棄などする際に、もらうことすらできます。ただし、これは学校によるかもですが)。

この記事でとにかくわかってほしいのは、「論文の文章は、相手に理解されてなんぼ」であって、「私は小難しい研究しましたよ!ふんっ!」とふんぞり返るためのものではない、ということです。勿論論文の形式上のお約束なども色々あってややこしいとは思いますが、上記を十分理解されて、あまり気負わず研究・論文作成にいそしんでいただけたらと願ってます。頑張って。

では本日はここまで。最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

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