絵画保存修復を学ぶ10:留学に関し3;実はéquivalence(エキヴァランス)はコピーが作れる?!

修復を学ぶ

直近の記事である「絵画保存修復を学ぶ9」にて、「équivalence エキヴァランス」の取得には多くの時間とお金がいることがおそらくご理解いただけたと思います。

そんな時間もお金もかかる、「国のハンコ」がいるような書類に関して、先の記事を読んで「複製が作れる」だなんて思わない人が大多数ではないでしょうか(それは過去のブログ主がそうだったので、思いこみでそう書くのですが。苦笑)。だって、350円くらいで作れる日本の戸籍謄本すら、一般的なコピーはできないのに。あるいは「エキヴァランスのコピーなんか作っても意味ないじゃないですか?」とお思いになられる方も多いのではないかと推察しています。

しかし、そんなことはないんですよ。ブログ主は、是非「équivalence エキヴァランス」のコピーを作っておくことをお勧めします。

ヨーロッパでの書類関係の実情

ヨーロッパでは、あらゆるものの証明として「紙」のやり取りは非常に重要です。ですので、重要な紙のやりとりをする際、相手になんらかの書類を渡すときは、必ず相手にお渡しするもののほかに、自分の手元に置いておくその複製を作っておき、「この日にあなたにこの書類を渡しているよ!」と言えることが非常に大事になります。この行動は、自分たちの行動を正当化するための命綱なのです。

また、ヨーロッパでは日本では決して発生しないことが起こります。そしてそれは実際にブログ主の身にも起こりました。

皆さん、日本においては、学校に提出した紙資料などを学校がなくすはずはないと思いますよね?ヨーロッパでは普通に、事務局、先生、誰に関わらず無くします。信用してはいけません(苦笑)。

ブログ主が提出した「équivalence エキヴァランス」も、留学先の事務局が無くして大変な騒ぎになりました(滝涙)。また、「学生が正しく提出したものがなくなった場合」は、必ず「無くした側(学校、教員、事務など)」に問題があるのではなく、「学生が提出しなかった」という扱いになります。これも鉄板です。過去に見た映画の中でもそういう表現がありました…。「équivalence エキヴァランス」がないとなると、どうなるか。退学か研修生になるか、です。正規の学生ではなくなりますので、大変な騒ぎです。ちなみに後々ブログ主の「équivalence エキヴァランス」は、ちゃんと事務局から発見されましたが、謝罪はなしです。

ですので、「無くされては困る書類は、原本を渡さない」というのがヨーロッパでは必須事項なのです。可能であるならコピーを渡せ、ということです。だってまさかエキヴァランスを2部作るなんて、お金も時間も気力も大変ですよ…。

でも実際「学校はエキヴァランスの原本を求めているし…」と思われることでしょう。それが、実はコピーを原本と同等の価値に変える方法があるのです(こういう言い方って、あやしいお商売みたいですね…汗)。自分が正しく提出した書類を相手が無くしたのに、こっちが損をするなんて、悲しいです。なので、「原本は渡さない、コピーで対処」がヨーロッパの原則であると是非覚えておいてください(苦笑)。

エキヴァランスの紛失がなぜ発覚したのか

ちなみに、提出したエキヴァランスの紛失が発覚した理由、知りたくないですか?

実はヨーロッパの大学の場合、大学が不正に学生を入学させていないかの確認などのため、1,2月ごろになると、学校に査察が入るんですよ。で、学生の書類の確認とかをするんですね。その際、ブログ主の書類の中のエキヴァランスが紛失していた、というわけです。こういうことが起こらなかったら、学生生活に関係ない、大学のご都合なんて知る由もなかったですが(苦笑)。

当時のブログ主は素直にエキヴァランス原本を提出していたので、もう真っ青で。その際に、「こういうことがあるからみんなコピーを出しておいて、無くされたら、再度新しいコピーを渡すのよ」と、そういう知恵を教えられたわけです(ブログ主の知恵は、自分が転んで得た知恵ですので…イテテ)。

エキヴァランスのコピーに、原本同様の価値を付ける

まず、エキヴァランスを白黒コピーします。数枚やるとよいでしょう。

で、それらのコピー(必要枚数分)と、念のため原本、お金(コピーの枚数×5€【要確認、これは15年位前の情報です】)を持って、commune(役所)に行ってください。

で、commune(役所)の受付で「duplicate du diplômeがほしい」といいます。するとコピー一枚につき5€程度(もし値上がりしていたらごめんなさい)で、communeのハンコを押してもらうことで、単なる白黒コピーが「正式な書類」に早変わりします。

もし、学校にすでに「原本」を提出してしまった!という場合でも大丈夫です。入学などの事務処理が終わった後で、学校側に理由を話して「コピーを作って、そちらをお渡ししますから」というと、エキヴァランスの原本を一時的に返却してもらうことができます。ただし、この場合はただちに「正式なコピー」を用意し、可及的早急にコピーを学校に提出してください(先に言いました通り、査察の際に書類がないとなると大変なことになりますから)。そうすると「原本」は手元に残すことができますので。

思い出し駄文

今現在はどうなんだろうなぁと思うのですが、私が留学していたころは、町にいくつも「印刷屋さん」というか「コピー屋さん」がありました。「そんな店、やっていけるのか?」と思いますよね?だって、日本ではコピーといえば、コンビニでできるのですから。

そういうコピー屋さんは、だいたい学校の側にあって、学生が授業のノートはもちろん、各種資料とか、修了論文の体裁とか、上記のエキヴァランスの白黒コピーとか、そういうものを全て請け負っているので、多分今でもあるのかな(各学生のコピー枚数は、十数枚とかではなくて、数十枚から数百枚なので…、ちりも積もればで結構いいお商売なのかしら…?)。

で、そのコピー屋さんがどうして思い出深いかというと、日本の場合、白黒だろうとカラーであろうと、コンビニで勝手にコピーできるじゃないですか。でも、コピー屋さんではそうではないのです。おそらく偽造文書作成をさせないためだと思うのですが、カラーコピーがしたい場合は、原本を店員に渡して、店員が印刷するというお約束になっています。また、エキヴァランスを含む重要書類は、おそらく「ハンコ」などの偽造などのため、決してカラーコピーはさせてくれません。

留学当時、私は貧乏学生でしたので、印刷する機能しかないプリンターしかもっておらず、当たり前のようにコピー屋さんに行っていましたが、今の世の中、スキャニングとかのできるプリンターばかりじゃないですか。なので、そういう部分、コピー屋さんはどうなったんだろうなぁと感慨深く思ったり。市井の一介のコピー屋さんが、偽造させないためのチェック機能のような働きをしていたのに、そこが崩れるとどうなるんだろうなと疑問に思ったり。

でも、おそらく役所のほうがカラーコピーを受け付けないだろうから、白黒コピーでしか重要書類のコピーはやっぱり作れないよなぁと思ったり。なんていうんでしょうね。自動販売機もそうですけど、コピーに関しても、日本って平和だなぁとなんとなく思ったり(笑)。

本日のまとめ

ヨーロッパでは、「原本は渡さない!コピーで対処!」これが合言葉です(苦笑)。大事な書類を無くされて泣かないように、転ばぬ先の杖で、頑張っていきましょう(にっこり)!

最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

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