【用語】顔料に関する概要(ベルギーでの大学での授業Ver.11):昔の主要な顔料5(赤色顔料:赤レーキ)

用語

10 個前の記事より、ブログ主が海外の大学で留学していた際に、授業でいただいたプリントの翻訳となりますが、「顔料」というものを理解するために、用語の勉強として記事にしております。過去の記事もよろしければご覧ください。

また各記事にくり返し書いておりますが、このシリーズは翻訳であることから、文章として固い感じがあるだろう部分があります点、改めまして先にご了承くださいませ(ぺこ)。

現在シリーズとしては、昔の主要顔料についてあくまでもかいつまんだ説明のみを記載しまいます(海外の大学時代の、1年生の前期に受けた授業のプリントの翻訳です)。本日は赤色レーキ全体のお話となります。

プリントの内容:赤色顔料2:赤色レーキ

光に対してあまり耐久性はない(プルプリンよりもアリザリンのほうがより安定している)。

油の屈折率と近しい屈折率を持つことから、油の中では大変透明感を持つ。

吸油量は大きく、30~60%である。

レーキは通常不活性の白色の鉱物、例えば酸化アルミニウムや硫酸カルシウム(石膏)、あるいは炭酸カルシウムのような支持体に、動物あるいは植物由来の(あるいは今日においては合成由来の)天然オーガニックの染料を固着させることで調合された顔料である。

  • 複数種の赤色レーキが存在する
    • カイガラムシのレーキからはコチニールを抽出したものである
    • ※カイガラムシ:16世紀の頭に次第に用いられた:より青みのある赤色が得られる
  • 地中海周辺に生息する多年草であるRubia Tinctorumの根から採れる茜レーキは、わずかなオレンジ味を持つ赤色である。
    • 15世紀に大変よく用いられたが、分析によってこれらの性質を正確に述べるのは困難である
    • 主要あ茜の色素はアリザリンとプルプリンである。アリザリンとプルプリンの間のパーセンテージによっていくつものニュアンスをもつレーキを得ることができる。アリザリンのパーセンテージの増加に伴いピンクから濃い赤までとなる。アリザリンはプルプリンよりもより光に対し対光性があることから、濃いレーキはピンクのレーキよりも良いとされる。
  • ブラジルボク(ブラジルレッド)は染料として用いられるが、その色味の脆弱さから絵画に用いられることはない
  • 染物師の黄緑色とされる色々なクロウメモドキもしくはキバナモクセイソウの果実から抽出する染料であるstil-de-grainからなる黄色のレーキもまた存在する。

プリントの本文

Laques rouges

Pas très stable à la lumière (l’alizarine est plus stable que la purpurine).

Très grande transparence dans l’huile grâce à son indice de réfraction proche de celui de l’huile.

Prise d’huile importante, de 30 à 60%.

  • les laques sont des pigments artificiels préparés en fixant un colorant organique naturel d’origine animale ou végétale (ou aujourd’hui synthétique) sur un support minéral inerte généralement blanc comme l’alimine, le sulfate de calcium (gypse) ou le carjbonate de calcium (craie).
  • il existe plusieurs laques rouges:
    • la laque de kermès extraite d’une cochenille vivant aux dépends du chêne
    • ※kermès; de plus en plus utilisé au bébut du ⅩⅥème siècle: donne un rouge plus bleu
    • la laque de garance, à partir des racines d’une plante vivace, Rubia tinctorum, vivant sur le pourtout du bassin méditérranéen: donne un rouge légèrement orange. Très souvent utilisée au ⅩⅤème siècle mais leur nature est difficile à préciser par analyse. Les colorants principaux de la garance sont l’alizarine et la purpurine. On obtient plusieurs tientes de laque suivant le % entre alizarine et purpurine, du rose au rouge foncé avec un % d’alizarine croissant. L’alizarine est plus stable à la lumière que la purpurine, les laques foncées sont donc meilleures que les laques roses.
  • il existe aussi des laques jaunes à partir de stil de grain dont le colorant est extrait des baies de divers nerpruns ou de la gaude qui dont sa couleur au résédat des teinturiers.

本日のまとめ

前回の記事と今回の記事のみで昔の赤色顔料の説明は終了となります(また違う形で取り上げたいとは思っておりますが。^^)。

これほどに中世世界などでは、現代の絵具ほどの赤色のヴァリエーションなどはなかったと思うと、びっくりですよね。

でもよくよく考えてみると、小さいころなどに、草花の葉っぱや花で色を採ろうとしたことがある方、きっと少なくないと思うのですが、きちんと色のでる植物とか殆どなかったこと、思い出されると思うのです(汗)。

そう思うと、鮮やかな色彩を得る難しさや、キレイな色を得るために費やされた長い時間と努力のすごみを思ったりするんですよね。

私たちが美術館などで鑑賞できる絵画の顔料は、多くの方の努力や願いを経て得られたものなんあと思うと感慨深いものがあります(現代の絵具にしても、絵具製造販売会社の皆々様のたゆまぬ努力の産物です)。

こういう絵具のありがたみを知る上でも、一度顔料を自分で作ってみても面白いかもしれません(^^)。もしご興味がありましたら是非チャレンジしてみてくださいね。

というわけで大分なりましたのでここまで。

最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

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