【用語】顔料に関する概要(ベルギーでの大学での授業Ver.19):昔の主要な顔料14(茶色顔料1:シエナ土)

用語

毎度毎度同じシリーズ内で同じ文言を繰り返してはおりますが、前置きとしまして、この用語シリーズはブログ主が海外の大学で留学していた際に、授業でいただいたプリントの翻訳となります。西洋絵画を構成する素材の一つである「顔料」を理解する足がかりの一つとして記事にしております。

このシリーズの最初のものや、過去の記事にて他の顔料の説明をしている記事もありますので、よろしければご覧ください。

また各記事にくり返し書いておりますが、このシリーズは翻訳であることから、文章として固い感じがあるだろう部分があります点、改めまして先にご了承くださいませ(ぺこ)。

本日は茶色の顔料の代表、シエナです。

プリントの本文:茶系顔料1:シエナ土

茶色

シエナ土

屈折率:2~2,2

吸油率:35~45%

光に対して十分な耐性がある

全ての結合剤とともに使用可能

本来のシエナ土はイタリアのトスカーナ地方、特にシエナ地域を由来とする。

イエローオーカーと同様に、シエナ土はもともと水酸化鉄と粘土で構成されているが、ごくわずかに二酸化マンガン(0.8~1.5%)を含む。

他方ではイエローオーカーにおいては酸化鉄が粘土部分との関係にて少量である(酸化鉄量は平均して最大30%ほど)のに対し、シエナ土は水和した酸化鉄は%%を超える割合となっている。

シエナ土はイエローオーカーよりもより温かい黄色を呈する:他方、シエナ土は大変透明性がある。

天然のシエナ土は石灰化(黒色化させること)によって”バーントシエナ(焦げたシエナ土)”となる。この色はシエナ土と同様に大変よい透明性を持ち、輝くような焦げた赤色のような色味を呈する。

プリントの本文

Brun

Terre de Sienne

Indice de réfraction: 2 à 2,2

Prise d’huile: 35 à 45 %

Assez stable à la lumière

Utilisable dans tous les liants

La véritable terre de Sienne provient de la Toscane en Italie et en Particulier de région de Sienne.

De même que les ocres jaunes, les terres de Sienne se compsent essentiellement d’hydroxydes e fer et d’argiles mais elles contiennent en plus de petites quantités (0,8 à 1,5%) d’oxyde de manganèse. Par ailleurs, alors que dans les ocres jaunes c’est l’oxyde de fer qui est minioritaire par rapport à la partie argileuse (oxyde de fer maximum en moyenne 30%), dans les terre de Sienne l’oxyde de fer avec l’eau combinée dépasse les 50%.

Les terres de Sienne présentent une couleur jaune beaucoup plus chude que celle de ocre; par ailleurs elle possède une très bonne transparence.

La calcination des terres de Sienne naturelles donne des “terres de Sienne bruûlées” également dotées d’une très bonne transparence et dont les couleurs sont d’un rouge brun doré.

本日のまとめ

今回はプリントのオリジナルの文に合わせて「シエナ土」と訳していますが、通常画材屋さんで見かける絵具だと「ローシエナ」あるいは「バーントシエナ」という名称で知られる絵具です。

「ローシエナ」は文字通り「生のシエナ(土)」で、それに対して「バーントシエナ」は「焼いたシエナ(土)」。前者は明るい赤茶のような色味ですが、後者はクレヨン的な色名でいうと「こげ茶色」です。

このシエナを顔料とした絵具も、先の記事でご紹介しましたオーカーと同様に油絵具では不可欠の色味ですね。オーカーもシエナも同じく土性顔料ですので、作品に塗布されたこれらの顔料を化学的調査などで完全に区別することはほぼほぼ困難であると同時に、非常に関わり深い顔料ですので、もし先のオーカーの記事などをまだ読まれていない場合などは、よかったら読んでみてください(^^)。

シエナは本文にもあるとおり透明性のある顔料ですので、油絵においてはグレーズ技法おいう、油絵だからこその技法に使用するとまた美しさの引き立つ顔料だったりします。同時にグレーズ技法のある作品に関する作品の調査修復は、結構慎重さを要します(とはいえ、いかなる技法で描かれている作品に対しても、いい加減な気持ちで調査をすることは決してありませんので、ご心配なさらないでくださいね。汗)。

というわけで本日はここまで。最後まで読んで下さりありがとうございます。

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