毎度毎度同じシリーズ内で同じ文言を繰り返してはおりますが、前置きとしまして、この用語シリーズはブログ主が海外の大学で留学していた際に、授業でいただいたプリントの翻訳となります。西洋絵画を構成する素材の一つである「顔料」を理解する足がかりの一つとして記事にしております。
このシリーズの最初のものや、過去の記事にて他の顔料の説明をしている記事もありますので、よろしければご覧ください。
また各記事にくり返し書いておりますが、このシリーズは翻訳であることから、文章として固い感じがあるだろう部分があります点、改めまして先にご了承くださいませ(ぺこ)。
本日も茶色の顔料、オーカーのような歴史的な長さのない顔料と考えられていますが、これまた重要な顔料です。
プリントの本文:茶系顔料2:アンバー
アンバー
吸油率:32~50%
アンバーは二酸化マンガンの高い含有パーセンテージゆえに(12~15%、20%に達しうることもある)オーカーと同一視されることもある。
アンバーは同様に石灰化(黒色化)した形で見つけられる。
この石灰化(黒色化)の作用は全ての有機的な不純物を破壊する効果と無機酸化物の多少際立った脱水を引き起こす。
アンバーを高温で焼くと、その結果バーントアンバーとなり、脂肪質的な結合剤の乾燥を遅らせることは決してない。また赤味を若干帯びた透明感のある顔料となる。
プリント本文
Terre d’ombre
Prise d’huile:32 à 50%
On peut les assimiler à une ocre dans laquelle il y aurait un pourcentage élevé d’oxydes de manganèse (de 12 à 15%, mais pouvant atteindre 20%).
On les trouve également sous la forme “calcinée”. Cette opération a pour effet de détruire toutes les impuretés organiques et de provoquer une déshydratation plus ou moins prononcée des oxydes minéraux. Il en résulte que la terre d’ombre calcinée, ou encore ombre brûlée, ne retarde jamais le séchage des liants gras et présente une couleur rougéâtre légèrement plus transparente.
本日のまとめ
アンバーは現代でも結構地味目な立場な顔料かなぁと個人的に勝手に思っているのですが、それでもある種の色彩を出したいときに非常に有用かつ、使い勝手もよい顔料かなと思います。
いろんな結合剤と混合しても変質することはないですし、他の顔料との組みあわせでも変質が見られないためです。
しかし顔料そのもののクオリティが低い場合は耐光性が低めとなり、色あせが発生するといわれています。何にせよ文化財に強い光を照射することがタブーとされていますので、現代でこれは起こりにくいかな…と思いたいところですね。
また、絵具に対してブログ主がいつも「面白いなぁ」と思う部分だったりするのですが、吸油率の高い顔料が同時に乾燥力(油絵具の場合は正確には乾燥ではないのですが)を持っていることがあり、絵具として使用する上でのバランスが取れていたりするんですね。
ただ反面、吸油率の高い顔料の場合、その混合されている油量のために将来的に色が変色(暗色化)することもあります。これに関しても、アンバーのようにもともと暗い絵具の場合は大きすぎる問題にはならないかなぁと考えたりもします。
この用語シリーズで多々でてくる「吸油率」という不思議な言葉一つでも、そこから色々考えるべきことがあったり、作品への影響を考えることができるんだと思うと、面白いですよね。
ということで本日は短めとなりますがここまで。
最後まで読んで下さりありがとうございます。
コメント