【用語】テルペンもしくはテルペニックの樹脂素材:絵具に関する概要(ベルギーの大学での授業Ver.37 ):結合剤と希釈材17

用語

毎度毎度同じシリーズ内で同じ文言を繰り返してはおりますが、前置きとしまして、この用語シリーズはブログ主が海外の大学で留学していた際に、授業でいただいたプリントの翻訳となります。西洋絵画を構成する素材の一つである絵具を理解する足がかりの一つとして記事にしております。ただ、もし文化財保存修復を学びたいなーという方が読まれている場合は、こういう記事のみをうのみにするのではなくて、いろんな文献を比較参照してくださいね(^^)。

また各記事にくり返し書いておりますが、このシリーズは翻訳であることから、文章として固い感じがあるだろう部分、あるいはわかりにくいがあります点、改めまして先にご了承くださいませ(ぺこ)。顔料や絵具に関しましては、現在やっている【用語】シリーズに関わらず、すでに過去の記事で何度か書いている部分もありますので、そちらもご覧いただけるとわかりよいのかな…と思いつつおります。

本日は「この分類がわかると、作品を構成する素材への理解も大分楽」なテルペンおよびテルペニックの分類の簡単なお話まで。日本で勉強していたころ、結合剤や希釈剤に関して色々な文献などを読んではいたのですが、海外の場合こういう分類の仕方を教えてくれて、あくまでも個人的な感想ではあるのですが、この分類が一番ブログ主にとっては結合剤や希釈剤を理解しやすく、また溶剤調査に関して勉強する際に非常に役立った分類の仕方です。

現在シリーズで記載している「プリント」には、実は元ネタといいますか、王立研究所が出している冊子の簡易版がこのプリントの内容だったりします。ですので、正直いいますとこのプリントの記述だけでは理解しにくいことや、日本で読める文献の内容など、様々な文献の内容で、それぞれ足りない部分を補完して「なるほど!」と腑に落ちる内容だと思っています(あとは実際に、いろんな知識を駆使して実際的に1つの作品を修復する「計画」を立て、それを教員と「討議(先生に上意下達してもらうのではなく)し」、実際に修復を実施する、場合によっては処置状況次第で計画の立て直しもする、ということをしないとなかなか腑に落ちにくいとは思っています)。

こういう話は知識だけではどうにもならず、実際素材を触ったり、作品の形で触ったりしないと、なかなか「実感」という形にはなりにくいので…ということを先にご理解いただくと、「わかりにくいなぁ」という気持ちも多少解消できるかもですね。というところでプリントの内容を見てみましょう。

プリントの本文:結合剤と希釈材17:テルペンもしくはテルペニックの樹脂素材

Ⅳ テルペンもしくはテルペニックの樹脂素材

樹脂=水の中で不溶性の植物性分泌物

イソプレン単体で構成される

分子の中に含まれるイソプレンの単位の数によって、テルペン物質は次のように分類される:

  • A:モノテルペン:イソプレン2個(松脂、ラベンダー、ローズ、アスピックの精油)
  • B:セスキテルペン:イソプレン3個(松脂、ベチベルソウ、ベルガモット、パチュリ、レモンのにおいのする植物、シェラックなど)
  • C:ディテルペン:イソプレン4個(コロファン、サンダラック、コーパルなど)
  • D:トリテルペン:イソプレン6個(マスティック、ダンマル、エレミなど)
  • E:ゴム:イソプレンN個

ディテルペンの主な生産元は針葉樹と大きなマメ科の目であるCaesalpiniacéesの一族である。

トリテルペンはとりわけ被子植物(種子が閉じられた空洞の中に閉じ込められた植物)に由来する。

プリント本文

Ⅳ Terpènes ou matières résineuses terpéniques

Résine = sécrétions végétales insolubles dans l’eau

Bâties à parir d’une même unité, l’isoprène

Selon le nombre d’unités isoprènes contenues dans les molécules, les substances terpéniques sont clssées en :

A- Monotérpènes : 2 isoprènes (essence de térébenthine, de lavande, de rose, d’aspic…)

B- Sesquiterpènes : 3 isoprènes (essences de térébenthine, de vetiver, bergamote, patchouli, citronnelle, shellac, etc).

C- Diterpènes : 4 isiprènes (colophane, sandaraque, copals, etc).

D- Triterpène : 6 isoprènes (mastic, dammar, élemi, etc).

E- Caoutchouc : N isoprènes

Les grands producteurs de deterpènes sont les conifères et une famille de l’énorme ordre des légumoneuses, les Caesalpiniacées.

Les triterpènes proviennent surtout d’Angiospermes (plantes dont les graines sont enfermées dans des cavités closes).

本日のまとめ

本日の内容は、本当に箇条書きのみではあるのですが、結構この区分を覚えているだけでも、油絵の保存修復関係は大分役に立つかなと思っています(覚える、とまでいかなくてもなんとなくの分類を理解する、という感じ)。

特に保存修復においては、「どういう物質が作品を構成しているのか」を理解することは本当に大事で。そのためにいろんな視点での理解が必要なんですよということを、このブログ中で耳にタコができるほどにお話していますが、こういう、修復を理解していない頃だと「なんでこんなことを知らなくちゃならないのか!」と言いたくなることなど、いろんなことを理解する必要があるんですね。

保存修復の勉強をしていると、本当に全方位において学ぶ必要がありまして。なので、必ず文化財保存修復学科への入学希望者が「こういうことが好きです、得意です」というのですが、その好き、得意ということと同じ分量、あるいはそれ以上の分量において「苦手、好きじゃない」ということを学ぶ必要が、どういった人においても出てくると思うのです(特に文化財保存修復の中でも、絵画や彫刻などを実質的に触るという系統を学ぼうとする人は、大概「物理・化学・数学」が苦手で、それから逃げるようにこういう専門を選ぶ傾向がありますが、実はこの専門こそ物理・化学などの理系が学びの半分近くの容量として必要なので、困難が多いはずです)。

誰しもがどこかの部分で「苦手だぁ~」と涙を呑むような経験をするとは思っていますので、もしこのブログを読んでいるのが「学んでいる最中」の方だとしたら、なんとか踏ん張りながら頑張ってほしく思います。どんなに偉い先生でも、どんなに有名な先生でも、絶対「苦手だった」という何かを頑張ってこられてきたはずですから、みんな同じに同じに頑張っていますので。ブログ主もです。

というわけで本日はここまで。最後まで読んで下さり、ありがとうございます

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