【用語】サンダラックとコーパル(ディテルペン):絵具に関する概要(ベルギーの大学での授業Ver.43):結合剤と希釈材23

用語

毎度毎度同じシリーズ内で同じ文言を繰り返してはおりますが、前置きとしまして、この用語シリーズはブログ主が海外の大学で留学していた際に、授業でいただいたプリントの翻訳となります。西洋絵画を構成する素材の一つである絵具を理解する足がかりの一つとして記事にしております。ただ、もし文化財保存修復を学びたいなーという方が読まれている場合は、こういう記事のみをうのみにするのではなくて、いろんな文献を比較参照してくださいね(^^)。

また各記事にくり返し書いておりますが、このシリーズは翻訳であることから、文章として固い感じがあるだろう部分、あるいはわかりにくいがあります点、改めまして先にご了承くださいませ(ぺこ)。顔料や絵具に関しましては、現在やっている【用語】シリーズに関わらず、すでに過去の記事で何度か書いている部分もありますので、そちらもご覧いただけるとわかりよいのかな…と思いつつおります。

本日はサンダラックとコーパルに関して。

プリントの本文:結合剤と希釈材23:ディテルペン:サンダラック

サンダラック

サンダラック樹脂は北アフリカ、地中海側そしてオーストラリアで生育する小さな毬果植物系統に由来する。つまり、イトスギ属やネズである。

サンダラック樹脂は透明な小さな雫形で、木の幹からにじみ出る低品質のものは、木の根元に落ちて蓄積された樹脂のブロックによって構成される。

この不純物によって汚された美点は非常に色濃いことです。

この樹脂は褐色化傾向が低いこと以外、およそコロファンと同じ欠点を示す。

15世紀のストラスブルグ写本まで、古いレシピの中で最も広く引用されていたのはJuniperus樹脂である。

プリントの本文:結合剤と希釈材23:ディテルペン:コーパル

コーパル

この用語は大変様々な由来の一連の樹脂を指し示す。その中で最も固いものは、現在では姿を消した植物種を時々由来とする化石化した樹脂である。

最も重要な製品はナンヨウスギ(毬果植物)やジャケツイバラ科(マメ科植物)に由来する。

プリント本文

Sandaraque

La résine sandaraque provient de petits conifères de la famille des Cupressacées qui pousssent en Afrique du Nord (Tetraclinis articulata), sur les côtés méditérrannes (Juniperus communis, J.phoenicea, J.thurifera) et en Australie (Callitris quadrivalvis, Q.columellaris), c’est-à-dire des cyprès et des genévriers.

La résine exsude du tronc sous forme de petites larmes transparentes. Une qualité inférieure est constituée par les blocs de résine qui se sont accumulés en tombant au pied de l’arbre. Cette qualité souillée par des impuretés est beaucoup plus foncée.

La résine présente à peu près les mêmes défauts que la colophane, sauf une moindre tendance à brunir.

Jusqu’au Manuscrit de Strasbourg au ⅩⅤème siècle, ce serait la résine de Juniperus qui aurait été la plus couramment citée das les recettes anciennes.

Copal

Ce terme désigne une série de résines d’origine très diverse, dont les plus dures sont des résines fossiles provennant parfois d’expèces végétales actuellement disparues. Les producions les plus importantes proviennent d’Araucariacées (conifères) et de Cesalpiniacées (légumineuses).

本日のまとめ

サンダラックは中世のワニスの素材として使われていたよう。これに対しコーパルは絵画のワニスとしての使用は稀だったよう。コーパルは馬車や家具のワニスとして使われるほうがメジャーだったようですね。

また、サンダラックはヴァイオリンに対して使用する樹脂としてはよく知られている模様。かつてヴィオラ(ヴァイオリンより少し大きな弦楽器)奏者の方に、ワニスを塗布する前と後では音色の変化があるのかを聞いたことがあるのですが、おそらくブログ主のような素人にはわからない程度なんでしょうけど、「変わる」という回答をもらったことがあります。

ヴァイオリンをはじめとする弦楽器にワニスを塗布する理由としては、あの飴色のような美しい色彩というのもあるのでしょうが、おそらく木製の楽器に対して防湿対策だったり、あるいは場合によっては音色に対する何かもあるのかもしれませんね。

こういう風に考えてみると、どうしてその素材がワニスとして使われるのか、「楽器に対して」なのか「絵画に対して」なのか、どういう利点があるのか、逆に他の樹脂ではダメなのかなどを考えることは、その素材を深く知る一つの方法と捉えています。

絵画と音楽、全然関係ないじゃないかと思われそうですが、木材や樹脂といった似たような素材が使われていることを思うと、ちょっと「おお」と思いませんか(ブログ主だけでしょうか。苦笑)。

というわけで本日はここまで。最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

コメント

タイトルとURLをコピーしました