紙ってどんな素材①?:セルロース

修復を学ぶ

紙。現在お仕事の場では、「ペーパーレス」が進められていたりしますが、それでもなかなか紙ゼロで生活するのは難しいものですね。

例えばレジでもらうレシート、ポストに入れられているチラシ、クリーニングの預かり証、駐車券などなどなど。

紙というのは人と時空を超えてコミュニケーションをとったり、記録を残したり、意思伝達したりと、様々な場面で役立つものです。

ちなみにブログ主自身がそうなのですが、同じ「本を読む」などの文章を読むのにせよ、PCやスマホなどの「画面上」では集中しづらいため紙媒体を好む、という人も少なくないのではないでしょうか。

あるいは、日本の子供の場合、小学校にあがると教科書とノートを使って勉強しますよね。いくらいろんな電子機器が出てきたとて、いまだ学校で使う勉強道具は紙製かと思います。お家で宿題をする、テスト勉強をするにせよ、紙と鉛筆あるいはペンを使用するのではないでしょうか。

また紙は芸術における支持体として多用されてもいます。

日本でいうなら、習字が非常に身近ですね。また、日本画の支持体も和紙です。他、小学校の頃などは紙にクレヨンや色鉛筆で描き、そこから水彩やポスターカラーなどを使い始めるのではないかと推察します。

あまりメジャーな画材ではないかもしれませんが、パステルなんかの支持体も紙ですし、使うことはおすすめできませんが、油彩の支持体に紙を使う人もいるでしょう(ブログ主が油絵科在籍時、習作として色のついた紙に油彩で描いたいたこがありますので、自分に対する「あ゛ーーー!」というのもあるのですが。苦笑)。

そういう美術の素材としても、「紙」という基底材(場合によっては表現素材ともなっていますが)は、「板」や「キャンヴァス(布)」などと比較した場合、いかなる人もおそらく触ったことがある素材として身近と言えるのではないかと思います。

紙の構造を見てみる:セルロース

こういった身近な「紙」という素材ですが、では分子的な構造でいうとどのようにあっているかといいますと、一番小さいユニットとしては、グルコース、別名ブドウ糖(C6H12O6)からなります。

しかしこれは単体でいるのではなく、(C6H12O6)が向かい合って2個セットになったもので1個単位となります。この2個イチの分子が長ーく連なって「セルロース」となります。これは植物繊維の主成分で、地球上でもっとも多く存在する炭水化物であるといわれています。炭水化物って単語、よく聞きますね。お米とか、パンとかパスタ(いわゆる小麦ですね)とかからなる主食、あるいはイモ類とかにもよく入っているので、ダイエットとかされている方だと「あっ」と思うかもですね(^^;)。

このようにセルロースは、植物繊維といわれるだけあって、植物の茎や葉だけでなく、野菜や果物にも含まれますし、「木材」も植物ですので、それらに含まれている利率の違いこそあれ、こういったものに含まれます。

そうすると、あら、どうでしょう?例えば和紙がある一定の植物からなることはよく知られていますが、他の紙類も、例えばエジプトのパピルスを含め、そういうものからなることは推察されますね。

また、布はどうでしょうか。皆さんが着る「綿」。絵画の画布として使用される「亜麻」、夏素材として使用される「麻」など、植物繊維からなりますね。

あるいは先ほど紙以外の基底材として出しました「板」。板は木材から採れるということはご理解いただけると思います。木材ということは、植物ですね。

こういう風に考えてみると、目に見える製品は紙、布、板と別のものですが、根本的なところで考えると、グルコース(C6H12O6、ブドウ糖)を元としたセルロースからなる、ということが前提となります。

ですので当記事において、便宜上「紙」の話とはしていますが(勿論紙の話をする予定ですが)、よくよく俯瞰して考えると、「紙だけの話」でもない、ということを考えながら記事を読むと、役に立つかと思います。高校の授業しかり、大学の授業しかりなのですが、「〇〇の授業」だからといって、「〇〇」にだけしか役に立たない話を先生たちはなさってるのではなく、「〇〇」というのは鉛筆やはさみなどと同じで、それの使いようでは何にでも使える話をきっとなさっているのだと思って、学校で授業を受けるとよいと思うんですよ。

閑話休題。

このセルロースと呼ばれる多糖類は、一般的には単体でいるのではなく、これらが複数束になった状態で「ミクロフィブリル」を形成します。

セルロースとミクロフィブリルの関係みたいなものは、ネットでググればどれだけでも出てきますが、他のもので例えると「縫い糸」などの糸類紐類を想像してもらえるとよいかと思います。

糸ならなんでもいいのですが、糸類をほぐすと、実はさらに細い複数の糸?繊維?を撚って一本の糸にしていることがわかります。この細い繊維がセルロース、それらが複数集まっって一本の糸の状態になったものをミクロフィブリルと考えると簡単かと思います。

とりあえず、セルロースのお話だけだとこんな感じがまず理解できるととてもよいですね。

本日のまとめ的なもの

紙といいますか、植物繊維からなる素材というのは、本当にすごいものなんですね。この記事ではセルロースってものが重要なので、少なくともグルコースとかセルロースとか、ミクロフィブリルって単語を覚えてくれればってそれだけなのですが、こういう素材を知れば知るほど、こういうことを知っていて、先人たちはこういう素材で美術作品を制作したのか…と、古典の人々に対して色々思ってしまいます…。

この記事を書くからではないですが、先日人に勧められていった自然豊かな場所がありまして。そこはほんとに山で。木がいっぱいあって。安心と、怖さがありました。怖さに関しては、以前海外に住んでいた頃に、森で迷子になってしまった経験があったからかもしれません。

私自身、どこに引っ越しても比較的「街」で暮らしていて、「海派」か「山派」かと問われれば「海派」だと思っていました。しかし昨年くらいから何かと山に足を突っ込んでいることが多くなり、そういう視点で素材を眺める感じもあるかもしれません。

いろんな視点で素材を理解することの大事さが伝わればいいなと常に思いつつおります。

というわけで本日はここまで。最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

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