絵画作品の構造のお話をシリーズでやっていますが、調べものの関係で、少し違うお話を挟みます(^^)。ご容赦を。
そういえば、総合型入試(元AO入試)が今月行われたのかな?AO入試の時とは確か日程も変更されたと思うので、大学とは関係のない今、うろ覚えです。
さてそんな総合型入試(元AO入試)ですが、当然「合否」というものがあります。総合型入試(元AO入試)は、単純なペーパー試験とは異なり、お悩みな部分もあるかと思います。
すでに過日終わったお話ではありますが、正直総合型入試(元AO入試)自体、付け焼刃ではどうにもならないものですので、来年度受ける予定の方などの参考になればよいなと思っております。
あくまでも私が勤務していた大学での考え方、私が所属していた学科の考え方が基本となりますが、それらは就職の面接試験などともおそらくそう遠くない考え方かと思いますので、一般的な考え方とのずれは大きくないと思いますので、その経験を参考としたお話になります旨、先にご理解ください。
総合型選抜入試(元AO入試)の判定指針となるものはなに?
総合型入試(元AO入試)の判定の指針になるものは何でしょうか。おそらく
- 提出書類(学生自身の記入による志望理由などを描く書類、成績、学校の評価など)
- 面接
- 小論文、グループワーク、実技など
以上の3つくらいかと思われます(勿論大学によります)。
上記の一つ目の段階で、「あっ」と思われると思いますが、総合型入試(元AO入試)は、「今までの成績」や「高校の教員の評価」というものがついてきますので、そういう意味でも1日2日、入試のために頑張っても…という部分はゼロではありません(センター入試を受けて、さらに各大学のペーパー試験を受けるやり方の方が、当日の実力のみで済むので楽な部分もあります)。
正直、上記の3つに対してどこらへんが大きく左右するかは、大学次第、学科次第、教員次第という部分がありますのでそこは明確に断言できませんが、死角を作ってしまって、実際受験したら落ちてしまって後悔…というのは嫌ですよね?
だからこそ「総合型入試(元AO入試)で受けるから~♪」と高校の勉強をないがしろにしないでいただきたく思います。そもそも高校の学びの理解ができていない場合、いくら幸いにして大学に入学しても、大学の学びについていけなくて辛くなるのは目に見えているので…。
また、非常に厳しいことを先にお伝えすると、大学というのは本来高等な学びを求める人に開かれている場所なのね。「より高度な勉強がしたい」という人が来る場所です。「勉強したくないから総合型入試(元AO入試)で」というのは「勉強しにくる場所の入試」を受ける上で本末転倒ですので、「なぜ大学に行きたいの?」というところから考えてもよいかと思います。
例えば、総合型入試(元AO入試)の定員最後の一人という椅子を、「面接」「小論文」の合計が同程度の学生3人で争っている状況の場合があったと考えた場合、「高校の成績」や「高校の先生の評価」という「過去の実績」から「人柄」を深堀り考察される場合もあるかもしれません。
「3年間、自ら積極的に頑張れる学生」「3年間、害でもないが薬にもならないとりあえず学校に通った学生」「3年間、ちゃらんぽらんだった学生」、大げさにいうとこういう3タイプで一つの椅子を争った場合、「自ら積極的に頑張れる学生」に軍配が上がるのは当然だと思います。なぜなら大学の学びには「積極性」が必要だからです。もっと言えば「自ら疑問や問題点を提起して、それの解決に自ら積極的に解決に向かえる学生」が最良ではありますが、高校生段階でこれができるなら、海外の大学や東大・京大を目指していると思いますので(^^;)。
ただ、ここで頭の片隅に入れておいてほしいのは、大学の学びは「自ら積極的に頑張れる人」に向いているからこそ、そういう人材が求められている、ということです。ですので、上記3つの評価対象においても、少なくとも「積極性」という点は見ていると考えます。
提出書類、内容を読まれる前にこんなところを見られている?
本日の記事では上記の「提出書類」のことのみを取り上げます。
「提出書類」には、学生が自ら書く書類があるはずです。志望動機とかね。そこでの最低限の注意点。皆様の「文章を読む以前」の注意点ですが、2つあります。
- 文字はキレイに書きましょう
- 記入欄に空きをつくらない(全10行の記入欄のうち2行が無記入とかはダメです)
上記は文章を読む以前に、「積極性」だけでなく、「やる気」や「読む人のことを考えない独善性」に関わります。「字が汚い」の度合がひどいと、「読めない」ということが起こり、場合によっては読んでもらえなくなる危険性もあります(勿論教員は必死で読みますが、「読めない」ものは「読めない」ので…)。
送付するための書類は、試験で書く小論文とは異なり、何度でも推敲もできますし、ゆっくり丁寧に書くこともできます。その上で、「字が汚い」「文章が短い」だと、「努力」しているように見えませんよね?「やる気」が見えませんよね?「しっかり僕(私)の文章読んで下さい~!」っていう願いも見えませんよね?
また、学生さんが自筆で書いて送る書類は、志望する大学から指定されたひな形によるもので、書くべき欄に10行あれば、「10行埋めること」というのは、不文律(暗黙のルール、常識)です。ですので、それが行われていないということは、「こちらの言うことがわからない」という「理解不能」、あるいは「理解している上での不実行」という「わがまま」、もしくは「常識がない」という風にみなされます。これは受験の書類だけでなく、履歴書などがそういう扱いですので、社会人からすると当たり前のことです。
だからこそですが、こういった提出書類の不備を確認することで、大学の教員はどうとるかといいますと、「大人とコミュニケーションをとれない」「大人とコミュニケーションをとる必要性の理解ができていない」とも理解されます。なぜなら、入試中の試験とは異なり、提出書類に関して担任教員、受験担当教員あるいは親などに、どれだけでも相談することが可能ですし、場合によってはお友達に相談することもできるでしょう。ですが、結果を見る限りこれらに「相談していない」か、あるいは「相談した上で、理解せず、自分勝手なことをしている」とみなされるためです。
コミュニケーションが取れない人、自分勝手な人、そういう人を優先的に入試で合格させることはありません。
おおよそ一般的な就活でもそうかと思いますが、「コミュニケーション」が取れない人は、求められません。「コミュニケーションが取れる」というのは、面接がある総合型入試(元AO入試)であるからこそ、尚、求められる能力でもあります。
加えて言いますと、記入欄の中で、端的に起承転結がある文章、読みやすい文章がよいですね。だからこそですけど、おそらく受験担当教員とか担任教師とかがそこをバックアップしてくれるはずですので、そういう「人に頼れる」というのも大事だと思うんですよ。
提出書類の内容で大事なのは?
幸いなるかな、提出書類の字が汚くもなく、記入欄をきちんと埋められているものは、第一段階クリアですね。
でもまだまだ注意することがあります。
提出書類の記入欄の内容は、おそらく大学それぞれによって異なる部分があると推察しますが、絶対的に求められるのが「なぜ(why)その大学なのか」「なぜ(why)その学科なのか」といった動機と「入学後の具体的な目標や目的(what)」です。さらにいえば「入学後どのように(How)、何(what)を頑張るつもりなのか」といった具体的な計画があればなおよし。
上記、わざわざ「why」「how」「what」と書きましたが、これらが明確なこと、かつこれらが同じ方向を向くこと(あるいは相関関係があること)が重要です。実際文章として書いてみるとよいですが、これらがばらばらな文章は、「何がいいたいのかさっぱりわからない」という文章となります。
加えて、特殊な学科ほど紋切り型に、金太郎飴のように、同じ文章がでてきます。「これが学べるのは貴大学しかないから」「修復を学びたいから」などなど。こういう金太郎飴的文章と、「その人のひととなり」がわかる文章では、どちらがよいと思いますか?
総合型選抜入試(元AO入試)は、ペーパーの学力だけを測る試験とは異なり、その人のやる気、人柄などを観る試験です。そこでやる気も人柄も見えない文章を提出されても困っちゃうんですね(苦笑)。
「ちょっと気になるし、総合型選抜入試(元AO入試)なら楽ちんだから、受けるだけ受けてみようか~」という人と、「もう、小さいころからこの職業に就きたくて、就きたくて」という人では動機(why)が違うことから、絶対的に文章は異なるはずです。そうあってほしい(笑)。そういう自分の過去(ここを受けよう!と思った何か【why】)と、「将来的に自分はこうやって頑張るし、勉強するから入れて!【How,what】」とアピールする場なんですよね、提出書類は。
また同時に、大学教員側は「本当にうちの大学、うちの学科のこと、わかっているのかな?」ということも考えて読んでいます。言ってみれば、就活における「うちの会社のこと、名前だけで受けてないよね?」みたいなのと一緒です。就活の際には、業界とか受ける会社に関する勉強をして受けるのが一般的。だって、興味があったら調べるじゃないですか。自分の人生を左右するものに関して、調べますよね?それって「やる気」や「関心」があるとやりますけど、それらがないとやらないですよね?それと同じ、と言えばわかってもらえるでしょうか?学科の名前だけで受けて、学科の内容とかが全然わかっていなくて、幸い入学できても入ってから「こんなはずじゃ…」というのはよくよく聞きますのでね…。
だからこそではあるのですが、「将来学芸員になるために、保存修復を学びたい」というのは、過去の記事でも何度も書いておりますとおり「わかっていないなぁ」の代表の文章とはなります。まぁ、高校生程度の場合、しょうがないのかなぁというあきらめはありますけど。「目的(学芸員)」のための道(選べる大学、選べる学科、求められる学科)がたくさんある場合は、「なぜ(why)」そのために「その学科」なのかをよくよく考えるとよいですし、そのために色々調べてみるとよいです。そうすると自分の書いている文章が「適正」なのか「やぶへび(勉強不足)」であるかがよくわかったりもします。「学芸員」に向く学科は「保存修復」ではない、ということに気づくと尚よいですね。
本日のまとめ的なもの
本日は総合型選抜入試(元AO入試)の提出書類に関して特にお話してみました。
なんでこんなの書くんだろう、相手は何を見ているのかなの一例ではありますが、「こういうのを見ているんだ」とか「こういうのが目的か」とかが分かっていただけたらいいかなと思っています。
提出書類、しかも学生自身が書く部分に関しましては、「履歴書」や「エントリーシート」を書くのとほぼほぼ変わらないので、高校の先生や親御さんに相談すると大概問題ない部分です。反面、こういうのは先にも書きましたとおり「自ら動ける積極性」や「人に頼れる」こと、「コミュニケーションが取れる」ことに関わりますので、全然軽視できないことです。「常識の有無」にも関わりますから…。
そしてあとは内観ができていることと、受けるべき大学や学科が理解できていることというのがすごく重要。学生の卒論とかでもいうことですけど、何もない知識ゼロで文章とか、書けないですからね。
というわけで、「総合型選抜入試(元AO入試)も、短期間に準備はできない」ということでご理解いただけたら幸いです。最後まで読んで下さり、ありがとうございます。
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