絵画保存修復を学ぶ9:留学に関し2;équivalence エキヴァランスの取得過程

修復を学ぶ

直前の記事「絵画保存修復を学ぶ8:留学に関し;学部から?大学院から?(海外のシステムとして)」にて、留学の際には留学先に「équivalence エキヴァランス」を提出する必要性がある場合があること、また「équivalence エキヴァランス」自体の簡単な説明をしました。

また同じ記事内にて、「équivalence エキヴァランス」の取得にはお金と時間がかかる旨や、取得までが少しややこしいことなどをお話しました。

ですのでこの記事においては、「équivalence エキヴァランス」の作成方法といいますか作成スケジュールのみお伝えする次第です。ただし、この情報は私が実際にエキヴァランスを取得した15年位以前の情報に、留学の地にいた際にいろいろエキヴァランスについて留学希望者に尋ねられた際に変化したらしい部分を手直ししてお伝えしていますが、なにせここ近年のリアルタイムな情報ではないので、あくまでも目安的に読んでいただけるとありがたく思います。

équivalence エキヴァランス機関が言外として求めているだろうこと

直近の時期「絵画保存修復を学ぶ8:留学に関し;学部から?大学院から?(海外のシステムとして)」でも書きましたとおり、「「équivalence エキヴァランス」はよその国の人が大学(あるいは大学院)に入学する際に、「この人は大学に入ることができるほどの学びをしてきたのだろうか」「数学年スキップできるだけの学びをしているのだろうか」「いきなり大学院に入れるほどの学びをしてきているのだろうか」ということを評価するための書類です。

ですので、嘘や虚偽というのはまさに「「équivalence (直訳すると、『資格などの同等性』)」を失うことになりますので、「虚偽がないこと」が第一となります。当たり前といえば当たり前ではありますが、先の記事でも書きましたとおり、「すでに大学院修了者でも学部からやり直しの可能性が存分にある中で、絶対絶対大学院から始めたい!」と盛っちゃう人もいるのかもしれないですね(あくまでも推察ですが)。

だからこそですが、「法廷翻訳人」を通した国のハンコ(留学先の国のハンコ)のある書類が必須です。ここで重要なのは、翻訳のみ(翻訳者が誰であろうと)や、「求められるハンコ『以外』」があっても何の意味もない、ということです。ヨーロッパの市役所とかもそうですけど、一番最初に「ハンコの存在」を確認していて、「まずハンコのないものは認められない!」というのがあります。求めるのは「虚偽がない」という証明のための「国のハンコ」です。

最近は留学関係の相談ができる場所もいろいろあると思いますので、「エキヴァランスの相談がしたい」といえば、法廷翻訳人のご紹介、あるいは他の方法くらいはしてもらえるのではないでしょうか(ちなみにブログ主は、海外研修中に現地で作った知人づてに法廷翻訳人を見つけていたのでレアケースです)。

équivalence エキヴァランス の取得はいつまでにすべき?

ブログ主の留学時は、入学手続きの際(9月はじめ)にエキヴァランスがあればよかったのですが、学校にもよりますが、最近は入試段階で提出を求められるらしいので、8月には書類は持ってないと困る事態になるでしょう(入試日程は各学校で異なりますので、各自必ず各大学のホームページなどでご確認いただき、その上でいつまでにエキヴァランスが必要なのかをチェックしましょう)。

またヨーロッパは、夏に長期休暇をがっちりとりますので、最悪「エキヴァランス関係機関」が7,8月中夏季休暇で稼働していないことが考えられます(8月は稼働していなかったんじゃないかしら…。うろ覚えですが)。ですので、エキヴァランス自体を6月中に手に入れられているのが安心ですが、最悪でも「エキヴァランス関係機関」から「エキヴァランスはできているから、当機関に取りに来て」のような確認連絡が来ていたら、ぎりぎりセーフ…なのかなぁ…かもしれません。こういう「書類はできています」の文書でも大丈夫か否かは、本来エキヴァランスの提出を求めている学校が判断することですので、こういう場合は留学先の学校に確認をするか、自己責任でお願いします。ブログ主はその点は責任は負えませんので。

書類の翻訳作業やら、各所の繁忙期問題、書類の郵送にかかる時間など、「どこでいつ時間を食う」かはわかりませんので、書類作成はできるだけ早急にというのが思うところです。特に日本国内の郵送は時間的に安心感があるのですが、海外での郵便は本当に時間がかかるので、日本と海外間の郵送においては私は片道2週間かかるものとして計算しています。つまり書類を往復させると、それだけで1カ月かかっちゃうのです。ですので、できるなら6月のエキヴァランス取得に向けて、1月、2月くらいから準備をしたほうが、断然安心はできます。

équivalence エキヴァランス 作成に必要な書類

エキヴァランスの取得の際に必要提出書類は以下(あくまでもブログ主の時代は、の話ですので、きちんとエキヴァランス関係機関のご要望は確認してくださいね):

  • 高校、大学(修了しているなら大学院も)の卒業証明書と成績証明書
  • 大学(および大学院)のシラバス
  • 戸籍謄本

大学などの書類は、身近に出身大学などがない場合、大学のシステムや繁忙期(あるいは盆暮れ正月のような休暇期間)か否かなどによっては取得までに1カ月近くかかる場合がありますので、必ず余裕をもって手にいれてください。この書類に関しては「賞味期限」がありませんので。逆に戸籍謄本は3カ月の使用期限がありますので、書類のやりとりのぎりぎりまで取得を待つほうが安心感があるかもしれません。

翻訳は自分?課金して翻訳?法廷翻訳人に依頼?

よほど自身の翻訳能力が優れているのでない限り、個人的にはお金を支払って翻訳してもらうほうが時間的にも余裕がでますし、エキヴァランス機関が書類を突っ返してこないかどうかハラハラする必要もないので、ブログ主は書類の翻訳自体、お金を払って依頼しました。

さらに実は、当初エキヴァランスのやり方がわかりにくかったので、最初に翻訳専門企業みたいなところに翻訳を依頼しまして(法廷翻訳人への依頼の必要を知らなったのです)、15年位前の話ですが、「高校、大学、大学院」の「卒業証明(修了証明)」「成績証明書」だけだったかな、シラバスも入れていたかな…それで全部で10万以上かかりました。

でも結局法廷翻訳人を経由した国のハンコが必要なので、法廷翻訳人に念のため翻訳も入れるといくらになるかを聞きましたら、先の企業さんのお値段より結構安かったんですよ…。加えて、たまたま個人的に私がお願いしました法廷翻訳人さんは、いろいろ気を使ってくださったのか、シラバスの内容なども「これはどういう意味?」「こういう書き方でいい?」と確認を取りながら翻訳してくださったので、あくまでもブログ主の個人的な意見としては法廷翻訳人さんに翻訳を依頼するほうが金銭的にも翻訳のクオリティとしても安心感があってよかったと思っています。ただ、法廷翻訳人さんのご都合とか、相性とか、個人的資質とか、いろんなものが絡み合う部分ではありますし、機械的な法廷翻訳人さんもいらっしゃるかもしれないので、そこはご容赦を。

法廷翻訳人さんに「翻訳」+「国のハンコ」を一気に依頼した場合

翻訳を自身でしようとも、翻訳関係企業さまに依頼しようとも、「最終的に書類に留学先の国のハンコを押してもらう必要がある」ので、法廷翻訳人さんに翻訳した書類と原本、あるいは法廷翻訳人さんに翻訳自体も依頼するなら日本語の原本にみを発送する必要があります。以下は法廷翻訳人さんに翻訳とハンコを依頼した場合におそらく必要となる日数です。

こういう作業は、あくまでも日本にいる留学希望者さんと留学先にいる(異国にいる)法廷翻訳人さんとのやりとりとなるので、まず「必要書類の発送」→「翻訳およびハンコの捺印」→「いったん依頼主にハンコのある書類の返還」という流れにおいて、多大な時間を要します。

また、法廷翻訳人さんが繁忙期なのか暇な状態か(あるいは休暇をとっていないか)といったことにも左右されるので、ぎりぎりに書類を送付するのはやめましょう。

あくまでも目安として、「日本から現地への書類の発送に2週間」「法廷翻訳人の翻訳とハンコに2週間」「現地から日本への書類の発送に2週間」の計1カ月半位が普通にかかると思っていただけたらと思います。ただしこれはあくまでも目安ですので、郵送が早い国の場合はもっと早いですし、法廷翻訳人さんのご都合がよくて、書類量が多くないならそれなりに日数がかからない状態となるでしょう。逆にヨーロッパの国にとってのお休み(クリスマスとかイースター付近とか)あたりはいろんなものが機能しなくなるので、とにかく時間がかかると思っていただけたほうがイライラしないと思います。日本の早い対応を期待しないことです。だからこそ、こちらが日数的に余裕をもって何もかもしないと大変なことになってしまいます。

なお、これはあくまでも法廷翻訳人さんのご許可があればとなりますが、仮にものすごく切羽詰まった状態の場合、翻訳する内容だけ先に書類をスキャニングでもなんでもして、メール等で法廷翻訳人さんにお送りし翻訳していただいている間に原本を郵送するという手もなくはないです。しかし、これはあくまでも奥の手で、法廷翻訳人さんに強制できることではありませんので、ご注意ください。

法廷翻訳人からハンコのついた書類が届いたら、やっとエキヴァランス関係機関に書類を提出することができます

法廷翻訳人から国のハンコのついた書類が届きましたら、あとはそれをエキヴァランス関係機関に送付するのみです。これも結局、日本から異国に発送することになりますので、2週間ほどかかるとみたほうがよいです。

エキヴァランス関係機関に書類が到着し、仮に不備などがあればその連絡もあるでしょう。不備の場合は、必要書類を再送付する必要があり、その分時間がかかりますので、それを踏まえましても、やはり日程的には余裕を持ちたいところです。

発送書類に問題がないようであれば、書類がエキヴァランス関係機関に到着してだいたい一カ月後くらいに、「エキヴァランスを当機関まで取りに来てね」という連絡が来ますただし日本の場合は郵送での連絡の場合さらに2週間ほどかかるので、こういう連絡がくるのは1カ月と2週間後となります。その上で、8月の試験までには書類が必要、7,8月はエキヴァランス関係機関は夏休みで取得ができないかも!と考えると、4月中には書類をエキヴァランス関係機関に提出してしまいたいですし、そのためにはやはり準備は1,2月くらいから始めも早すぎることはないなと思ったりするわけです。留学希望者がすでに留学するための国にいるとかいう場合なら、もっと時間的余裕はありますし、もちろんやり方次第では日本にいようとももっと時間的に短縮できる部分はあると思いますので、そこは各自で工夫してみてくださいね。当記事はあくまでも、ぎりぎりにならないための目安のお話をしております。

本日のまとめ

簡単に言ってしまえば、やるべきことは、

  1. 提出のために必要な書類を集める(必ずエキヴァランス関係の書類を確認すること)
  2. 日本語の書類は、留学先の言語に翻訳する
  3. 必要書類原本および翻訳に、「留学先の国のハンコ」を押してもらう
  4. 「ハンコ」付の必要書類原本および翻訳をエキヴァランス関係機関に発送する

の4段階です。そんなに難しいことではありません。時間とお金はかかりますが。あとは必ずエキヴァランスを提出が必要な時期までに手に入れること、あるいは「エキヴァランスはできているので取に来い」という書類でも大丈夫なのかを確認すること、ですね。

この面倒を乗り越えれば、憧れの留学が待っている!ということで、頑張っていただきたいものです。

最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

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