【雑記】文翔館を初訪問:建造物と絵画の間に見つけた共通点

雑記

先日重要文化財である建造物の見学に行って参りました。文翔館というところです。

非常に重要な建物ですので、おそらく市民である小学生や中学生なんかはきっと一度は学校単位で見学に連れていかれるだろうところで、かつ、全国的にここに旅行にくるならここは絶対行こうという観光名所だったりします。

なお、ブログ主が現在住んでいる県は生まれ育った県とは全く異なるので、私自身がこの建造物に行ったのはこれが初めてです。

ちなみに今から約100年ほど前に建設された建物です。

ブログ主は建築は全然専門ではないのですが、行ってみて興味深かったです。一つの建物が、当時のいろんな人や県、場合によっては他国の知識や素材や技術でできていて。その当時の粋を極めているんだなぁと思うと、感無量ですよね。

なんといいますか人でも作品でも建造物でもそうですけど、「知らない」と「その価値」が分からない・理解できないので、目に入っていても見ていなかったり、場合によっては「ぞんざいな扱い」をしたりするんですけど、「知る」と違うんですよね。

あと、景色、気候、建造物なんかは特にそうだと思うのですが、リアルに体感するのと、TVやネットの平面で見ている状態では全然違いますね。こういうと、じゃ、絵画なんかもともと平面なんだから、それこそ写真やネットの情報で残せばいい話で、作品実物なんかなくてもいいじゃないかという方も、結構いらっしゃると思うんですよね。ただ、それは違います。これも是非実物、本物を見てみてほしいです。感動と驚きが全然違うので(^^)。

私、今回文翔館に行きまして、一番そうなんだなぁと思ったのが一部の廊下の床材でした(ほか壁紙や絨毯なんかも面白かったで、もし今後いかれる方がいらっしゃったら見てみていただけたらと思うのですが)。

廊下の床材に何が使われていたのかといいますと、リノリウムという素材が使われていました。リノリウム?と思われるかと思われますが、1860年代にイギリスで発明された床材や壁材の素材となったものです。名前だけを耳にすると、化学物質かと推察してしまいますが、実際は亜麻仁油の酸化物や松脂、石灰岩、コルク粉、木粉、天然色素からなる練り物を麻布に塗布して乾燥させたものですので、天然素材からなります。

リノリウムは耐火性・耐久性がよく、お掃除などがしやすい素材として有用なだけでなく、現代における価値の再発見としては将来的に処分などを要する際に有害ガスがでなかったり、あるいは抗菌・抗ウィルスする力が期待されているようです。

反面、「価値の再発見」(特に日本では。海外では長く愛用している国がヨーロッパにあったりします)というのは、リノリウムというのは製造過程において手間暇と技術を要するため、後に低コストで便利な素材が発明されていくにつれて、リノリウムの使用が減少していきました。もともとお金のかかる素材である反面、かつては日本でも製造していたものの、現在は輸入のみに頼る素材となっていることがまずデメリット。

またその原料として亜麻仁油を使用するため、癖のある臭いがすることや、紫外線によって変色しやすい傾向があるそうですので、あまり強い日照のある場所に施工するのはやめたほうがよいかもしれません。

こういうところ(床)に注目しているのは、何もブログ主が床フェチだからではなく、リノリウムを構成している素材が油絵の素材に似ているなというところからです。麻布、亜麻に油、石灰岩、天然色素…。足元に絵画を敷いている感じだなと思った次第(勿論、そのコンビネーションの在り方は絵画と床材では異なるはずですが)。床のように人が歩くところに敷くのに、30年は保つってどういうこと?とか(苦笑)。海外にしか製造会社がないらしいですが、どう作っているのか気になるなーとか色々思ってしまいました(笑)。ちなみにリノリウムを敷いている場所は、現在リノリウム剥き出しではなく、ワニス(だったかな?)でコーティングしてあるっておっしゃっていたと(間違いでなければ)記憶しています。

ちなみにリノリウムは高コストだから他の素材が成り代わっていったみたいですが、現代でも数少なく成り代わっていない場所があって、それはバレエのスタジオやステージの床なのだそう(この素材のもつ適度な滑り感じは、他の素材にはないのだそう)。バレエなんて、まさにヨーロッパ文化ですが、その踊り・音楽だけでなく、その場を構成する床までもそういうものから成るのかと思うと、文化の発生の面白さといいますか、文化の在り方の面白さといいますか、1つのものでも1つのものから成るんじゃないんだって感じがすごく興味深い気がします。こういう風に思っていくと、どこに行っても床を眺めてしまう感じになりますよね(笑)。

こういうのはあくまでも実体験としての例ですが、自分の専門じゃないから…と全然興味を持たないではなくて、いかなる事象にも自分の趣味や興味のあること、専門などと何かつながる部分があるかもと眺めてみると、ひょんなところで全く違うカテゴリーでも共通点を見いだせたりするよということを、特にお若い方に体験していただけたらなと思いつつおります。

というわけで本日はここまで。最後まで読んで下さり、ありがとうございます。

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